僕だけの…私だけの… ページ15
「ねぇ、ヒーロー
次は俺が君を護るヒーローになりたいんだ」
優しく笑うヒラに心が押し潰されそうになる
『違う…違うんだよ…
あれは、あの時はヒラを助けようとした訳じゃないよ…』
そう、私はあの時の事を覚えている
あの時、翔に見付けられて、遊ばれて
最高にイライラして、絶望して、
そんな時に見付けた、傷付ける誰かを
誰かに傷付けられる誰かを
許せなくて
ムカついて
八つ当たりをしたんだ
私は…
『…ヒーローなんて呼ばれる様な人間じゃない…
自分が助かる為に…
他人を不幸に出来る人間なんだよ！！！！』
叫びながらボロボロと涙を流して訴える私を見て
もう一度
ヒラは笑った
『…な…んで、そんな優しい顔が出来るの？…
私は…ヒーローなんかじゃ…ないんだよ…？』
そう言った私を見ても
ヒラは優しく笑ったままだった
「…
俺だったら俺を壊すよ」
『…え？』
真っ直ぐ見つめるヒラはそう言った
「俺が腹黒委員長の立場なら
Aちゃんの心の支えになる人
護ろうとするヒーロー
仲のいい友達
周りから潰していくよ」
『…ヒラ？』
「俺だって…ヒーローなんて言われる様な人間じゃないよ
サイコパスなんて言われるし、腹黒委員長のする事も理解出来る
けどね、俺は…
俺は皆のヒーローになりたいんじゃない
Aちゃんのヒーローになりたいんだ
俺を救ってくれた、Aちゃんみたいに
たまたまでもいい、八つ当たりでもいい
俺を救ってくれた君のヒーローに
俺はなりたいんだ」
優しい悪魔なんて…嘘だ…
彼は…優しい悪魔の様な
ただの人だった…
私のヒーロー
私はその日、ヒーローに護られた
ひとりぼっちの私の心を
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作者名：モグモグ | 作成日時：2020年9月27日 23時
