君はヒーロー ページ12
私は翔の話を聞いた後、手当もされずそのまま走り出した
背中は痛いままだし
何なら中に着てたTシャツに絶対血がついた
最悪
走り出した時の翔
笑ってた
どうして？手当もさせず、翔の傍から離れたのに
本当に、あいつ、意味が分からない
走り出した足は気が付いたら教室の前へ着いていた
居る可能性なんてない
居ない可能性の方が高い
それでも…
ガラガラッ…
扉を開けると机に伏せて眠る男が1人…
『…ヒラ』
彼が私を待っていた
どうしてそんな事が分かるかって？
だって、違うならどうして
私の机で寝ているの？
私は彼に酷い仕打ちをしたじゃないか
護らせて、先があるかも分からない約束をして
中途半端な気持ちで君を弄んで
あまつさえ、使えなければ役立たずなんて言ったのに
『どうして…』
私は一歩、また一歩と彼に近ずいた
寝てる彼の顔に手を伸ばした
触れると思ったその時
私の手は掴まれた
ヒラによって
「…おかえりなさい…Aちゃん…」
『…なんで…』
優しげに笑うヒラに私は涙を流した
泣き出した私を見たヒラは体を起こして立ち上がり
私を引き寄せて抱き締めた
「…しばらくの間、避けててごめん」
『そんな事…私の方が…ヒラに…酷いこと…』
抱き締められた私はヒラの胸の中で泣きながら喋った
それをヒラは、ポンポンっと頭を優しく撫でてくれた
「…良いんだよそんなの、俺が護れなかったんだから仕方ねぇよ…
この数日間、沢山考えてみたんだ
このままでいいのかって
そしたらやっぱり俺、Aちゃんを護りたいって思った
Aちゃんの傍に居たいって思った
Aちゃんが最後に選んでくれる男になってやろう！って思ったよ」
『…どうして？…どうしてそこまで思ってくれるの？…私はヒラにそこまでの事してあげてない…』
確かにヒラとは仲良くしてたし、普通に楽しく遊ぶ仲だと思う
けど、自分を傷付けられてまで良くしてあげた覚えなんてない
特別と言える程の事はしてあげれてない
「Aちゃんは馬鹿だなぁーw大切な事忘れてるじゃんw
俺はAちゃんに、特別な事してもらってるんだよ
役立つずでも、今度こそAちゃんのヒーローになってみせるからね！
俺のヒーローちゃん！」
そう笑いかけるヒラは
とっても眩しくて優しくて、愛おしく笑っていた
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作者名：モグモグ | 作成日時：2020年9月27日 23時
