∬029 ページ31
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指先に力を入れてないのに、勝手に紙の上をすべっていくコイン。
ズズ、ズズズ、と綱引きを愉しむように、『YES』と『NO』の間で揺らいでいる。
――(どっちだ!?)
燃えているロウソクが半透明の脂を垂らす。
押しあい引きあいの力はだんだん小さくなっていき、やがてコインは『YES』のほうへ傾きはじめた。
Aはまぶたを閉じたままだった。
――(こんなのインチキに決まってる! コインが動くのは指先の震えでだ! おれが女ごときに『くだらぬ感情』を抱くわけがないッ! このディオをおちょくるのも大概に……)
ディオはハッとひらめいた――(いや、それでいい! この際本当のことなどどうでもいいッ! そうだ、そのまま『YES』のほうへ進めッ)
《意外ッ! ディオはコインを『故意』に押しあげたッ!》
Aは咄嗟にまぶたを開く――「 !! 」
「ディ、ディオ……?」――ジョナサンは戸惑った。
『ディオには好きな女の子がいますか?』
――答え『YES』
ディオは肩の力を抜いて、椅子の背もたれに寄りかかる。
「参ったなァ。自分の本心さえも見透かされてしまうなんて」
窓の外では青白い雨が降り続いていた。
「A――」
彼女の手を握る。
「ぼくは君のことが好きだ」
三日月をナイフで削ったような眼が、Aの瞳をまっすぐ見据えている。
「ディオ――」
Aは まあるく微笑んだ。
――(好きな人がいるかなんて聞くのは、つまり おれに気がある証拠ッ! ジョジョ、Aをこのディオの虜にしてやったぞッ! おまえも見ていただろう? こいつの頷くような微笑みをッ)
――(だかね! これだけじゃあないからな! この先 この女が心変わりしないよう、いろいろとやっておかねばならない事があるッ)
窓を叩いて隙間風が入ってくると、ロウソクの炎をゆらゆらと燃やした。
それはディオの野望によく似ていた。
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推しの命は私の命 - ジョナサン空気( ﾟஇωஇﾟ) (10月15日 15時) (
レス) @page43 id: 0046fb2d1c (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - 黒猫歳花さん» コメありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです(*´ω｀)これからも、胸に刺さるキュンキュンを目指しながらお送りしますッ (2018年5月4日 23時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫歳花(プロフ) - はじめまして、この作品を読んでいるとディオにキュンとしっぱなしで楽しいです！これからも頑張ってください(*^▽^*) (2018年5月4日 20時) (レス) id: ae43b29bb1 (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - おバカな傀夢さん» ありがとうございます笑 ディオのキャラが崩壊していないか不安でもあります(汗)お話も中盤にさしかかって参りました…! 引き続きよろしくお願いします(*^-^*) (2018年5月4日 12時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな傀夢(プロフ) - おおっ！？やっと…やっと気が付いたかッ！ディオ〜！！大好きだ〜！！油電様も大好きです笑 (2018年5月3日 22時) (レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：油電 | 作成日時：2018年4月1日 21時
