∬022 ページ24
.
ジョースター邸近郊の森は、乾いた銅貨色に染め上げられていた。
こだまするように続く樹木、間から差し込む光――三人はやわらかい落ち葉を踏みしめて歩く。
「ねえ A。やっぱりよくないよ」
ジョナサンは空っぽのワインボトルをぶら下げながら言った。
「だったら あんた一人で帰ればいいわ」
Aは振り返り、尖った矢の先端を向ける。
「ちょ、ちょっと! 危ないじゃあないか!」
ディオが間に入る――「A、本当にあるんだな……?」
「ええ! この辺りにあったはずよ」
二人は周りを見回した。
ジョナサンはボトルに映った自分の顔を見つめて、心の中でため息をつく。
なぜなら、それは少し前のこと――
「ジョジョ! ディオ!」
バルコニーで紅茶を飲んでいた二人の元に、スカートを乱して彼女がやってきた。
(騒々しいな)
Aは持っていたニュースペーパーを興奮気味に読み上げる。
「『死者3名! 野犬の足跡! 田畑荒らされ!』」
「それがどうかしたのかい?」と足を組んだままディオが言った。
「事件があった場所はこの近くなのよ! そして、ここから少し離れたところに『森』がある!」
《森ッ! ――それは19世紀のイギリスにはほとんど存在しなかった!
なぜなら! 産業の発展により、大量の樹木が燃料や建築に使われたからである!
しかし――奇跡的! ジョースター邸近郊に『森』はあった!》
「ねえジョジョ、覚えてる? 昔、私の馬に乗ってその森に行ったことがあるでしょ。そのときキツネの巣穴があったじゃない?」
「うん、あったね……」
「きっと人を襲った野犬は、その巣穴を住みかとしているのよ!」
Aのランランとした目の輝きに、ジョナサンは嫌な予感がした。
「野犬退治に行きましょう!」
何を言い出すか――ジョナサンは思わず席を立った。
「野犬退治なんて危険だッ!!」
「二人とも武器を装備してきてね。私は弓矢を使うわ」
ディオは取り乱すことなく、紅茶を一口飲み――「ぼくは馬に乗ったことがない」
「大丈夫よ! 私が乗せてってあげる! 二人とも準備が出来たら庭に集合よッ」
「また勝手なことを……! 父さんに叱られるぞ!」
「ジョジョ、紳士なら立ち向かうべきでしょッ!」
Aは捨て台詞を吐くと、トタトタと走り去った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 92人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
推しの命は私の命 - ジョナサン空気( ﾟஇωஇﾟ) (10月15日 15時) (
レス) @page43 id: 0046fb2d1c (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - 黒猫歳花さん» コメありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです(*´ω｀)これからも、胸に刺さるキュンキュンを目指しながらお送りしますッ (2018年5月4日 23時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫歳花(プロフ) - はじめまして、この作品を読んでいるとディオにキュンとしっぱなしで楽しいです！これからも頑張ってください(*^▽^*) (2018年5月4日 20時) (レス) id: ae43b29bb1 (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - おバカな傀夢さん» ありがとうございます笑 ディオのキャラが崩壊していないか不安でもあります(汗)お話も中盤にさしかかって参りました…! 引き続きよろしくお願いします(*^-^*) (2018年5月4日 12時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな傀夢(プロフ) - おおっ！？やっと…やっと気が付いたかッ！ディオ〜！！大好きだ〜！！油電様も大好きです笑 (2018年5月3日 22時) (レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：油電 | 作成日時：2018年4月1日 21時
