∬018 ページ20
Aは数十分前、家政婦を困らせた。
――『ねえ、アップルパイが食べたいわ!』
――『ごめんなさい A様。ちょうどリンゴを切らしてしまい……チェリーパイならすぐに用意することができますが……』
――『チェリーじゃダメなの! 私はリンゴが食べたいのっ!』
アップルパイ……それは昔、ジョナサンと一緒によく食べていたお菓子。
ゴロゴロした角切りの林檎――それを舌の上でレロレロと転がして遊ぶのが好きだった。
お行儀が悪いと、何度もジョージおじ様に叱られたっけ。
≪最近、Aはちょっぴりセンチな気分になっていた!≫
懐かしいあの味が食べたい――数十分前、Aは家政婦に『私が街に行って買ってくるわ』と言い外に飛び出したのだった。
そして今、Aは林檎の入ったカゴを手に、満足げに帰り道を歩いている。
葉のついてない木々が点々と連なる田舎道。
道の先に女の子たちの輪ができていた。
何やら、輪の中心にいる栗色の髪の乙女がシクシクと泣いている。
まわりの女の子たちの声がAの耳にも届いてきた。
「本当にあの女 許せないわ!」
「ミルトンはあなたと両想いだったのに、それを簡単に振るなんて……」
乙女は嗚咽を飲み込み、「うぐっ。みんなありがと。でも もういいのよ。終わったことだわ」
Aはツンと背筋を伸ばしたまま集団を横切る。
女の子たちは本人が通ったことに気づくと、その背中に罵声を浴びせた。
「この性悪女! よくもこの子の好きな人をたぶらかしてくれたわね!」
「そうだ そうだ この性悪ゥ! 泥棒猫ーッ」
しかしAは姿勢を崩すことなく、こんなの慣れっこというように歩き続けた。
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《邸内》
家政婦に林檎を渡すと、Aは手ぶらになり、ジョナサンとディオを探し始めた。
二人とも部屋にいなかったから、きっと居間で勉強でもしているのだろう。
居間の扉を開ける――そこにはテーブルに向かってペンを走らせるディオの横顔。
向かいの席では、ジョナサンが鼻の下にペンを挟んで「うむむ」と考え込んでいる。
二人はAの気配に気づき、こちらを見た。
「ジョジョ、ディオ。二人とも仲良く勉強?」
「ああ。ぼくは数学の予習を……ジョジョはこの前の復習をしてるところだよ」
「『予習』? あら 進んでるのね」
Aはスタスタとジョナサンの隣に行き、
「ジョジョ、私が教えてあげるわよ」
ジョナサンの隣に座った。
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推しの命は私の命 - ジョナサン空気( ﾟஇωஇﾟ) (10月15日 15時) (
レス) @page43 id: 0046fb2d1c (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - 黒猫歳花さん» コメありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです(*´ω｀)これからも、胸に刺さるキュンキュンを目指しながらお送りしますッ (2018年5月4日 23時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫歳花(プロフ) - はじめまして、この作品を読んでいるとディオにキュンとしっぱなしで楽しいです！これからも頑張ってください(*^▽^*) (2018年5月4日 20時) (レス) id: ae43b29bb1 (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - おバカな傀夢さん» ありがとうございます笑 ディオのキャラが崩壊していないか不安でもあります(汗)お話も中盤にさしかかって参りました…! 引き続きよろしくお願いします(*^-^*) (2018年5月4日 12時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな傀夢(プロフ) - おおっ！？やっと…やっと気が付いたかッ！ディオ〜！！大好きだ〜！！油電様も大好きです笑 (2018年5月3日 22時) (レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：油電 | 作成日時：2018年4月1日 21時
