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∬011 ページ12

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「お帰りなさいませ」


三人が帰宅すると、召使のほかに黒い服のスレンダーな女性が立っていた。



「はじめまして Aお嬢様。わたくしはサリヴァン様の仰せつけで参りました『家庭教師』でございます」


「……家庭教師ですって? いまさら家庭教師に教わることなんか一つもないわ」


「ええ、そうでしょうね。しかし! 淑女たるもの辛抱強くならなくてはいけません」


家庭教師は足元にあったトランクケースを開けた――『ハサミ』『糸』『刺繍針』!!


Aの顔がサーッと青ざめる。



「さて、居間はどこでしょうか。案内していただけますか?」


Aは踵を返そうとしたが、素早く彼女に捕まった。


「いやよ離してッ! 裁縫なんか嫌いッ! 退屈で死んでしまうわッ!」


「裁縫で死んだ人なんていませんわ。強いて言うならグリム童話のいばら姫くらいです!」


Aは「いやだ、いやだ!」と必死に抵抗したが、大人の力に敵わないことがわかると大人しく居間に入っていった。




そのようすをただ傍観していたディオとジョナサン。


「Aは静かにじっと座っていることが苦手なんだよ。……でもぼくが思うに、本当の理由は彼女の幼児期の体験が関係してると思う」


「幼児期の体験?」


「ああ。Aのお母さんがまだ生きていた時のことなんだけど……」





――『ジョージとサリヴァンは気が置けない友人同士ということで、家族ぐるみの付き合いをしていた!

ある日、幼いジョナサンは同い年のAの家に遊びに行った。

Aはジョナサンに「いいものをみせてあげる」と言うと、嫌がるジョナサンの肩を強引に借りて、棚の高いところから母親の裁縫箱を取ろうとした。

しかし! 箱を持ち上げた拍子に中身をひっくり返してしまったッ!

そのとき、偶然にもAのまぶたの上を、落ちてきた手縫い針が刺してしまったのだったッ!!』





「まあ、幸いまぶたの肉をチクっと刺しただけで怪我は無かったんだけどね」


「へえ、だからあんなに嫌がっていたのか……」











黄金色の雲がやわらかく光る――ディオは二階の窓辺にいた。

重厚なソファに寄りかかりながら 静かに本を読む。

『パラリ……』

ちょうど7ページ目に差しかかった時、下の階から女性の甲高い声が響いた。


「お待ちなさいッ! スカートをひるがえして走ってはなりませんッ!」


階段を駆けあがる音がすると、姿を見せたのはAだった。




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推しの命は私の命 - ジョナサン空気( ゚இωஇ゚) (10月15日 15時) (レス) @page43 id: 0046fb2d1c (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - 黒猫歳花さん» コメありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです(*´ω`)これからも、胸に刺さるキュンキュンを目指しながらお送りしますッ (2018年5月4日 23時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫歳花(プロフ) - はじめまして、この作品を読んでいるとディオにキュンとしっぱなしで楽しいです!これからも頑張ってください(*^▽^*) (2018年5月4日 20時) (レス) id: ae43b29bb1 (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - おバカな傀夢さん» ありがとうございます笑 ディオのキャラが崩壊していないか不安でもあります(汗)お話も中盤にさしかかって参りました…! 引き続きよろしくお願いします(*^-^*) (2018年5月4日 12時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな傀夢(プロフ) - おおっ!?やっと…やっと気が付いたかッ!ディオ〜!!大好きだ〜!!油電様も大好きです笑 (2018年5月3日 22時) (レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:油電 | 作成日時:2018年4月1日 21時

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