[文豪ストレイドッグス] 未完成の短編集

BREAK TIME 1−1 {赤ずきんちゃんを演ってみよう!!} ページ10

あるヨコハマのはずれの山に小さな家がありました。

其処には、Aという赤い頭巾を被った女の子と、与謝野晶子という医者が住んでいました。

ある日、与謝野晶子さんはAに御使いを頼みました。

「いいかい、コレを敦の家まで届けるんだよ

そして、必ず日没迄に帰ってくる事

分かったかい?」

Aはこくん、と頷いてそれを受けとりました。

それは、探偵社に入って間もない敦くんにぴったりの洋服でした。

与謝野晶子さんに『いってきます』と言うと、Aは家を出ました。

少し歩いていると、綺麗な御花畑に着きました。

『わー、綺麗なお花ーっ!!』

Aが凄ーいと言っていると、2人の狼が来ました。

「糞、何で俺がこんな役･･････」

「それは、僕も思います」

それは帽子を被った小さい狼(みたいな人)と、強い殺気を放っている黒い狼(みたいな人)でした。

『ちゃんと演って下さい』

とAが注意すると、2匹は渋々、

「おい手前、早く花摘んだ方がいいんじゃねぇの」

「左様、それを持っていった方が人虎も喜ぶであろう」

『･･････うわー、それは良いわね』

Aは棒読みでそう言うと、花を摘み始めました。

そして2匹はその様子を見ると、さっさと逃げて、

「あー、めんどくせェなぁ･･････」

「まぁ、僕らの仕事は終わりですから」

と言いケモ耳を取って、都会の方へ駆け出しました。

Aはるんたったー、と歌を歌いながら花を摘んでいます。

すると不意にザアッ、という音がして辺りを見ると･･････

花が一本もない。

居るのは、着物の少女と後ろの夜叉。

そしてその手には、先程までAの近くに咲いていたと思わしき花々。

「此、敦に持っていったら喜ぶと思う･･････」

そう言ってAにいつの間にかラッピングしてあった花束を手渡し、少女は去って行きました。

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