[文豪ストレイドッグス] 未完成の短編集

[E・A・ポオ]　君は彼に夢中すぎる。 ページ9

『あー、カールは何時も可愛いねぇ』

キーキー、と鳴くカールに、私は頬を寄せる。

「A君、煩いのだ

我輩が何をしているのか見えないのであるか?」

私は、うーんと考えてこう言った。

『･･････寝てる?』

「違うのだっ!

我輩は、乱歩君への小説のネタを考えているのだ!!

用事が終わったなら早く出ていくのである!!」

積極的な意見も、小さな声すぎてあまり聞こえない。

是(この)人があんな小説を書いている、なんて誰が信じるんだろう。

『っていうか、まだ私、用事終わってませーん』

「む、何なのだ」

『それは･･････

カールと戯れる事!!

って訳で未だ此処に居るから!!』

と言って、私はカールをまた抱き上げる。

うん、可愛い。

「･･････何でカールなのだ･･････」

ポオさんがボソッ、と何か呟き、1冊の小説を持ってきた。

「此を読むのだ」

そう言って手渡されたのは恋愛小説。

いきなり何だろう、と思ってパラパラ頁を捲る。

ポオさんが上から覗いてこう言った。

「異能力『モルグ街の黒猫(Black cat in the Rue Morgue)』」

私は小説に入り込んでしまった。



此処は何処だろう。

高校の廊下･･････かな。

そんな所、5年位前から行ってない。

勿論、私の格好も制服だ。

「A君」

そう呼ばれて後ろを振り向くと、此方もまた制服の、ポオさんが居た。

「少し此方に来るのだ」

そう言って、私を空き教室に手招きして入れる。

そして、ぐっ、と腕を引っ張って、私とポオさんの唇が触れ合う。

『な、何やって･･････』

私が抵抗しようとすると、ふっ、と唇が離れた。

そしてポオさんが言った。

「カールばかりじゃなくて、我輩も構うのである･･････

その事が身に染みて分かったか?」

私は首を縦に大きく2回振った。

「ならば･･････我輩の恋人になってはくれぬか･･････?」

そう言った彼の顔は真っ赤で。

私は可愛いと思って、こう言った。

『カールは可愛いです』

え、とあからさまにショックを受けた顔をする、ポオさん。

『でも･･････私の彼の方が100倍可愛いです』

そういうと彼は私を抱き締めて、

『･･････有難うなのだ』

という声がして、私達は異能力の光に包まれた。

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