Egoism （ヴィル） ページ8
好きだったの、アンタのことが。
何もかも失った星の降る夜。夜空に燦然と輝く星を見ると、アンタの瞳を思い出す。いつだってアタシを真っ直ぐに見つめていた、その瞳が好きだった。
誰よりも純粋だった瞳。花が咲くような可愛らしい笑顔。抱きしめたときに伝わる心臓のちいさな鼓動。キスをしたあとの紅潮した頬。「好きです」と言うアンタの声。それがアタシの世界だったの。
アタシの毒は案外すぐに効いて、Aの息が止まるのにそう時間はかからなかった。床に倒れて動かなくなったAを抱き上げて、ベッドに横たえる。アタシもベッドに腰掛けて、愛おしむみたいにAの手をやさしく握ったり、頬を撫でたり、唇を指でなぞってみたりする。その可愛い唇に、散々キスを落としたっけ。今になってAとの思い出が鮮明に頭を巡ってしまう。莫迦なアタシ。もう戻れないのに。
ただ、アンタをどこにもやりたくなかっただけだった。アタシ以外の誰のところへも行かせないままで、見せないままで、感じさせないままで、アタシだけのAのままで終わらせてしまいたかった。そうすれば美しくなれると、ひとつになれると思った。
それだけだったの。
結局アタシが抱いていたのは恋や愛なんていうものじゃなくて、ただの執着に過ぎなかった。思い違いをしたの。アンタに恋をしてから、愛と執着の境目がわからなくなってしまった。そしてその執着は毒のように、病のように、呪いのようにアタシを蝕んで、そしてついにアタシはアンタの息さえも止めてしまった。ああ…どうして？アンタはあれほどに美しかったのに。それなのにアタシはこんなにも醜い。いっそこのまま死んでしまえたらいいのに。
「…アンタが好きよ。」
アタシは世界で一番空虚なセリフを吐いた。悲しいくらい何もない、永遠みたいな夜にAとアタシのふたりきり。愛してほしかったの。ただアタシだけを。
冷え切ったAの唇にそっとキスをする。「愛してるわ」なんていう愛の言葉は、星の降る夜にとけて消えた。この凍り付いた部屋でどうか永遠に、アタシとここにいて。
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タカマツ(プロフ) - ステラさん» リクエストありがとうございます！頑張って書かせていただきます！ (4月8日 22時) (
レス) id: 2b6c41affa (このIDを非表示/違反報告)
ステラ(プロフ) - リクエストでヴィル様のヤンデレで書いて下さい！ (4月8日 17時) (レス) id: 77f430fdd5 (このIDを非表示/違反報告)
タカマツ(プロフ) - クッピーさん» たくさんお褒め頂きありがとうございます！いつも励みになっております！フロイドくん、シルバーくん、ロロくんの３話は元々サイトと支部の方に載せていたもので、それをそのまま持ってきました。それとリクエストありがとうございます！頑張って書かせていただきます！ (4月6日 20時) (レス) id: 40ebf0ac6e (このIDを非表示/違反報告)
クッピー - 最高の作品ありがとうございます。短期間でこんな数の作品を作り、その上作品にドロっとしたヤンデレ感を入れつつ、キャラクターの特徴をここまで再現するのはすごいです。もしも良ければ、リクエストで、クルーウェル先生をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか？ (4月6日 14時) (レス) @page17 id: fd40d0f1db (このIDを非表示/違反報告)
タカマツ(プロフ) - クッピーさん» リクエストいただきありがとうございました！いつも温かいコメントをくださってありがたいです…！頑張ります！ (4月6日 0時) (レス) id: 40ebf0ac6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：タカマツ | 作成日時：2024年2月12日 23時
