ライフイズビューティフル（ルーク） ページ6
いつ明けるかもわからない夜に私たちは囚われていた。どこまでも落ち窪むような夜空が果てしなく続き、それが私たちを取り囲んでいるように見える。今にも崩壊してしまいそうな世界にふたりきりでいる、まるで心中のような夜だった。私をここへ、すなわち愛の牢獄へと閉じ込めているのは他でもないキミなのである。
私たちは誰にも見つからないようにバルコニーへと出て、意味のない戯れのような会話をしていた。時折、彼女の髪が風になびいたり、目を伏せたりするのを視界に滑らせては、一陣の風のように簡単に過ぎていく時間を止めてしまいたいとすら思う。そう願うことがあるというだけのこと。所詮何をしようと、私は彼女と同一の存在になどなれはしないのだ。それをわかっていてもなお、私は彼女をどうしようもなく欲してしまっていた。
「ルークさん」
監督生の。彼女の。キミの。あなたの。……ああ、Aの。何よりも聞きたいと望んでいたAの声が私を呼ぶ。その声は救済であるような気がした。
「なんだい、」と、私は数秒遅れて、ようやく彼女に返事をした。こちらを見た彼女の瞳は今まで見てきたどんな夜よりも深く、宇宙のような色をしていた。キミの瞳の中、そこが本当の宇宙なのだと私は思う。私はそこに放り出されてしまっているから、キミのことを考えると気が狂いそうでたまらなくなるのかもしれない。
「もし一緒に死んでって言ったら、ルークさんは、私と死んでくれますか？」
Aがそう言った瞬間、彼女の瞳の中の宇宙が渦巻いて、極彩色の銀河がそこに投影された。
彼女はこうやって容易く人を恋に堕とし、その牢獄に閉じ込めるのだ。当然私もそこに閉じ込められた一人であり、最早そこから出ようとはしないし、出たいとも思わない。願わくば、そのままキミに飼い殺して欲しいとすら思うのだ。呪いをかけてほしいんだ、私だけに。私はもう狂ってしまっているのだ。戻れなくなるほどに。キミという人に。
「ああ、もちろんだよ」
私がそう答えると、Aはやさしく笑んだ。その笑みが私だけのものならいいのに、とは口には出せなかった。彼女のふたつの宇宙が私をじっと見つめている。私はそこへ囚われた、キミに恋をしているだけのただの男なのだ。
いつまで経っても明けようとしない夜が、永遠のように私たちをつつんでいた。私はぼんやりとした頭で、僅かに心中への羨望を抱き、その情景を想起した。
ゆっくりと破滅するふたりの夜は終わらなかった。
ふたりきりの帰り道（デュース）→←fallen（ジェイド、フロイド）
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タカマツ(プロフ) - ステラさん» リクエストありがとうございます！頑張って書かせていただきます！ (4月8日 22時) (
レス) id: 2b6c41affa (このIDを非表示/違反報告)
ステラ(プロフ) - リクエストでヴィル様のヤンデレで書いて下さい！ (4月8日 17時) (レス) id: 77f430fdd5 (このIDを非表示/違反報告)
タカマツ(プロフ) - クッピーさん» たくさんお褒め頂きありがとうございます！いつも励みになっております！フロイドくん、シルバーくん、ロロくんの３話は元々サイトと支部の方に載せていたもので、それをそのまま持ってきました。それとリクエストありがとうございます！頑張って書かせていただきます！ (4月6日 20時) (レス) id: 40ebf0ac6e (このIDを非表示/違反報告)
クッピー - 最高の作品ありがとうございます。短期間でこんな数の作品を作り、その上作品にドロっとしたヤンデレ感を入れつつ、キャラクターの特徴をここまで再現するのはすごいです。もしも良ければ、リクエストで、クルーウェル先生をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか？ (4月6日 14時) (レス) @page17 id: fd40d0f1db (このIDを非表示/違反報告)
タカマツ(プロフ) - クッピーさん» リクエストいただきありがとうございました！いつも温かいコメントをくださってありがたいです…！頑張ります！ (4月6日 0時) (レス) id: 40ebf0ac6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：タカマツ | 作成日時：2024年2月12日 23時
