睡眠薬にひみつ（ジェイド） ページ3
たまにオンボロ寮のゲストルームに招待されると、偶然Aさんとふたりきりになることがあって、そういうときは決まって僕はAさんに紅茶を淹れる。Aさんは私が淹れますよと申し出てくれるのだが、招待のお礼ですと僕が返答すると、Aさんは微笑んでそれを受け入れるのだ。
紅茶を淹れたらふたりでソファに座って、僕が淹れた紅茶を一緒に飲みながらお話をする。Aさんの話を大人しく聞いて、なるだけ寄り添うような相槌を打つ。しばらく会話をするとやがてAさんが寝息を立てはじめ、僕に凭れかかってくる。僕はAさんの体をソファに横たえて、もう眠ってしまったらしいAさんの寝顔を見つめた。
乱れた前髪、額から眉の間、鼻の筋を通り、やわらかそうな唇まで丁寧に指でなぞってみる。こうするとAさんのすべてを掌握できたような気がしてしまう。簡単に騙されてしまう馬鹿なあなたがこんなにも愛おしい。
Aさんは僕があなたの紅茶に睡眠薬を入れていることに気が付いていない。あなたが僕の入れた睡眠薬で眠りに落ちるたびに、無垢なあなたの心を滅茶苦茶に壊してみたいという欲求に駆られてしまう。
眠っているあなたのこの細い首を絞めたら一体どうなるのだろう。こうしてAさんを眠らせた時はそう考える。必死に抵抗して死ぬのだろうか。それともあっけなく終わるのだろうか。どちらにせよ、僕はAさんの息が止まるところを少し見てみたくなっていた。
「……ぁっ、」
「おや、お目覚めですか」
Aさんが目を覚まして、目元を擦りながら起き上がる。ああ、もうAさんが起きてしまった。次はもっと薬の量を増やさなくては。
「ご、ごめんなさい、眠ってしまって」
「いえ、お気になさらないでください。きっとお疲れだったのですね」
「あ、はい…」
Aさんは眠たげに首をこてんと傾げる。さっき、僕が絞めてしまいたいと思った首だ。誰にも汚されたことのないそれをはやく暴いてしまいたいと思う。
「それでは、僕はそろそろ失礼します」
「はい、お気をつけて」
玄関先で、Aさんが僕を見送ってくれる。衒いのない笑顔が僕に向けられる。
純粋に笑えるあなたが好きです。可哀想なくらい人を信じてしまうあなたが好きです。僕が悪い人だと気付かないあなたが壊したいくらい好きです。
いつか、僕が眠っているあなたの首を絞めたとき、あなたはどのように壊れるのでしょうね。
「…よろしければ、また招待してくださいね」
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タカマツ(プロフ) - ステラさん» リクエストありがとうございます！頑張って書かせていただきます！ (4月8日 22時) (
レス) id: 2b6c41affa (このIDを非表示/違反報告)
ステラ(プロフ) - リクエストでヴィル様のヤンデレで書いて下さい！ (4月8日 17時) (レス) id: 77f430fdd5 (このIDを非表示/違反報告)
タカマツ(プロフ) - クッピーさん» たくさんお褒め頂きありがとうございます！いつも励みになっております！フロイドくん、シルバーくん、ロロくんの３話は元々サイトと支部の方に載せていたもので、それをそのまま持ってきました。それとリクエストありがとうございます！頑張って書かせていただきます！ (4月6日 20時) (レス) id: 40ebf0ac6e (このIDを非表示/違反報告)
クッピー - 最高の作品ありがとうございます。短期間でこんな数の作品を作り、その上作品にドロっとしたヤンデレ感を入れつつ、キャラクターの特徴をここまで再現するのはすごいです。もしも良ければ、リクエストで、クルーウェル先生をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか？ (4月6日 14時) (レス) @page17 id: fd40d0f1db (このIDを非表示/違反報告)
タカマツ(プロフ) - クッピーさん» リクエストいただきありがとうございました！いつも温かいコメントをくださってありがたいです…！頑張ります！ (4月6日 0時) (レス) id: 40ebf0ac6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：タカマツ | 作成日時：2024年2月12日 23時
