夢ばかり（アズール） ページ2
頭がぼやけている。
靄がかかったその中で、なぜかAさんの目だけがはっきりと僕を刺していた。 Aさんの顔が近づいてきて、その真っ黒い目に僕の顔が映る。恋人同士の甘やかな逢瀬だった。そのままそうっと二人のくちびるを触れあわせた瞬間思考が止まって、何もわからなくなってしまった。
そんな夢だった。
目が覚めるといつも通り、Aさんがいるはずもない僕の部屋。さっきまで多幸感であれほどに火照っていた頭が急速に冷えていく。それが虚しかった。
数か月前から、僕はAさんの夢を毎日見るようになった。その頃からつけ始めた夢日記はAさんのことで一杯になっている。Aさんとハグをする夢。キスをする夢。交わる夢。Aさん。Aさん。Aさん。
僕の頭があなたに支配されている。
「Aさん。偶然ですね」
「アズール先輩、こんにちは。」
至って普通の”先輩”への挨拶。礼節をわきまえた、懇切丁寧な会話。Aさんは何も知らない顔をして、ただ笑っていた。
…あの夢では、もっとやわらかく笑っていたはずだ。会話だってこんな他人行儀なものではなくて、恋人同士がするように甘く親密なものだったはずだ。おかしい。こんなのは現実ではない。今すぐこの夢から覚めなくてはいけない。
「僕、本当はわかってるんです。これは全て夢だって」
「…え？」
「あなたは忘れているだけなんです。ただ悪い夢を見ているだけで、思い出せばまたいつもみたいに僕と愛し合えるはずだ」
「え、何を、」
「ああ、僕、日記もつけているんです。この日に僕たちはハグをして、キスをして、交わって将来を誓い合ったんです」
「…まだ思い出せないんですか？あんなに深く愛し合ったのに？それとも僕を捨てるって言うんですか？僕をおかしくしたのはあなたなのに。あなたのせいで僕の生活はもうめちゃくちゃだ。夜も朝もあなたが頭に目の前に夢に出てきていつも傍に付いて回っているのに。妄想か本物かもわからないんです今見ているあなたですら。それほど狂ってしまっている。だから愛していると言ってください。あの夢で言ったみたいに」
「あなたが好きだ。愛しています。おかしくなるくらい愛している。から、……」
「………うん、もういいよ」
Aさんは軽蔑するような目で僕を見た。僕はAさんのこの表情を一生忘れることはできないだろう。世界が音を立てて崩壊して、僕は最低の存在に成り下がった。
これが夢だと思いたかった。
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タカマツ(プロフ) - ステラさん» リクエストありがとうございます！頑張って書かせていただきます！ (4月8日 22時) (
レス) id: 2b6c41affa (このIDを非表示/違反報告)
ステラ(プロフ) - リクエストでヴィル様のヤンデレで書いて下さい！ (4月8日 17時) (レス) id: 77f430fdd5 (このIDを非表示/違反報告)
タカマツ(プロフ) - クッピーさん» たくさんお褒め頂きありがとうございます！いつも励みになっております！フロイドくん、シルバーくん、ロロくんの３話は元々サイトと支部の方に載せていたもので、それをそのまま持ってきました。それとリクエストありがとうございます！頑張って書かせていただきます！ (4月6日 20時) (レス) id: 40ebf0ac6e (このIDを非表示/違反報告)
クッピー - 最高の作品ありがとうございます。短期間でこんな数の作品を作り、その上作品にドロっとしたヤンデレ感を入れつつ、キャラクターの特徴をここまで再現するのはすごいです。もしも良ければ、リクエストで、クルーウェル先生をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか？ (4月6日 14時) (レス) @page17 id: fd40d0f1db (このIDを非表示/違反報告)
タカマツ(プロフ) - クッピーさん» リクエストいただきありがとうございました！いつも温かいコメントをくださってありがたいです…！頑張ります！ (4月6日 0時) (レス) id: 40ebf0ac6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：タカマツ | 作成日時：2024年2月12日 23時
