王様ゲーム 恐怖

12 ページ12

side in

何なんだ…


なんであんなに淡々と酷いことを言えるんだよ。


雄「あのね、伊野尾くん。ひとつ言っておくけど、こういう場面で生きる力になるものって、なんだと思う？」


は？


何を言っているんだこいつは。



俺が怒っていることを忘れたのか？


雄「それは“怒り”。“友情”とか“絆”も結構だけど、それじゃ足りないの。“怒りと復讐心”。それがあれば大体の人間は生きられる。いつか復讐してやるって。そのために生きるから。」


慧「お前は何を言って＿」


雄「いいから、黙って聞いてて。」


みんなが困惑した表情を浮かべているから、高木の無表情が一層目立つ。


その感情が全く出ていない瞳は、恐ろしいほど冷たい輝きを帯びていた。


雄「で、怒りを生むためには悪者が必要なの。そいつへの怒りを生きるパワーに変換する。分かるでしょ？で、その悪者が今の俺。」



大「それって…」


雄「いいの。それだけ言っときたかっただけだから。これからも俺はまた冷たい言葉を吐く。だからそれを本能のままに恨んで。憎んで。そして生きて。で、俺に復讐するの。」


一瞬だけ崩れた無表情の奥には、寂しげな色が垣間見えた。




あれが…本当の…高木の思い…？

13→←11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す