(57) ページ7
.
ぶわりと大和守様の殺気がふくらんだ。ズキズキとコメカミが痛むのを感じる。一体どういう話の流れでそうなったのか。
否、もしかしたら聞き間違いかもしれない。できるだけ動揺を抑えた声で、おそるおそる加州様に問い返した。
「あの……もう一度仰っていただけますか。今、なんと……」
「だ、だから、その……、お、俺のあるじになって、っていった、んだけど」
「……」
聞き間違いではなかった。
固まったまま、薬研様と目を合わせる。
「ちょっと清光、何考えてるワケ？ 俺が……俺たちがあの時、あの審神者に何をされたか、おまえ、忘れちまったの!?」
怒ったような、驚いたような声で、大和守様は加州様に叫んだ。加州様は、一寸ビクリと肩を揺らすと、「忘れたわけじゃないよ！」と大和守様に怒鳴り返した。
「わ、忘れるわけないじゃん！ 忘れたわけじゃないけど……！ ……でも、それは、このひとのせいじゃない」
「はァ？」
「このひとが俺たちに、ひ、ひどいことしたわけじゃないでしょ？ それに、このひと、薬研が大変な目にあって、ホントに、血相変えて、ここに、きた。だから、その……わるいひとじゃ、ないよ」
最後には、消え入りそうな声になっていた。椿のような深紅のひとみには、心做しかうっすらと水の膜が張っている。
「……だから、このひとの刀剣男士になって、手入れを受けてよ、安定……」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 755人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
高橋かかし(プロフ) - うにクリームさん» ありがとうございます！ 亀更新ですが、気長にお待ちいただけると幸いです＾＾ (2020年1月29日 16時) (
レス) id: ad9f3afa3e (このIDを非表示/違反報告)
うにクリーム(プロフ) - 続きを楽しみにしています！ (2020年1月29日 2時) (レス) id: 3a6499ca1a (このIDを非表示/違反報告)
高橋かかし(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります（ ＾０＾ ） (2020年1月24日 18時) (レス) id: ad9f3afa3e (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - いつも楽しみに更新待ってます！これからも頑張って下さい(*^^*) (2020年1月19日 23時) (レス) id: 0e7eece4c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
