無感情ブラックⅡ【刀剣乱舞】 (ページ2)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:43,520 hit

(52) ページ2

.

　そこには、牙をむき出して薬研様にうなる大和守様と、手の甲から血を流して膝をつく一期一振様がいた。一期様の傍には、同じように薬研様を睨みつける刀剣……男士？様。肩口からサラリと零れるきんいろの髪が、窓からさしこむ夕陽に照らされている。

　えっと……

「……あなたは」

　刀剣男士様ですか、と尋ねようとして、場違いな問に口をつぐんだ。とにかく今は、事情を聞く方が先決だ。

　なぜ薬研様が、彼らに刀を構えているのか。大和守様が抜刀しているのか。

　……そして、いつの間にか私の背後に立っていた、見覚えのない黒髪の御仁のことも。

「……薬研様、何があったのですか」

「たいしょう、」

「こいつが一期一振に刃を向けた!! 一期一振は血を流した!! おまえも所詮同じだったんだろ!! あまい言葉をささやいて、僕を手酷く裏切る気だったんだろ!!」

　薬研様の言葉を遮って、大和守様が大きくわめく。ヒステリックに叫びながらも、刀の軸は一切ブレないままだ。さすが刀剣男士、といったところだろう。

「……大和守様、落ち着いてください。まず、どうしてそのような事態になったのか、お尋ねしたいのですが……薬研様、まず刀を下ろしていただけますか。そのような状態じゃ、まともに話もできない。私も、あなたも」

「……、……ああ」

　ス、と静かに刀が下ろされる。

「では、順を追ってお聞かせ願えますか。一体、どうしてこんなことになったのでしょうか。……大和守、しばしの間、お待ちいただけると幸いです」

　大和守様は、何かいいたげに眉をひそめて歯を噛んだ。だが、私の後ろの気配を目に止めると、はっと目を見開いて刀を下ろした。薬研様はぐっと唇を引き結び、静かにすみれ色の瞳を細める。

「……いちに、いや、一期一振が」

「ええ」

「話があると、俺に。……乱もついてきて、厨に連れてこられた」

「はい」

.