(08) ページ8
.
「よお大将。俺っち、薬研藤四郎だ。兄弟ともども、よろしく頼むぜ」
「……」
桜の中から現れたのは、黒髪の男の子……だった。
いや、男の子……というか。彼は、神様のうちのひとり……だろうか?
「うん? どうした、大将」
男の子……薬研様は、私を見て心配そうに首を傾げた。はっとして瞬きをする。しまった、驚きのあまり固まっていた。
「……初めまして、薬研様。11号と申します。こちらこそ、どうぞよろしくお願いします」
「じゅういちごう? ははっ、大将はずいぶん面白い名前を持ってんだな。俺っちのことは薬研とでも呼んでくれ。様付けなんていいからよ」
「いえ、そういうわけにはまいりません。あなた方は、神様ですから」
「そうか? そんな気張ることでもねえと思うけどなあ」
薬研様はそういって、困ったように苦笑した。それからキョロキョロと辺りを見回すと、そっと声をひそめた。
「俺っちを顕現してくれたこと、感謝するぜ。この本丸の事情は多少なりとも理解してるつもりだ。かなり噂を聞いたからな」
「……刀の姿でも、人の声を聞くことができるのですか?」
「……ああ、まあな。姿なんかは見えないが、耳はバッチリ働いてたぜ、俺っちは」
薬研様は茶目っ気たっぷりにウインクすると、「さあ、どうして大将はこんなところにいるんだい? なにか理由があるんだろう」といって腰に手を当てた。
……彼が他の審神者から「薬研ニキ」といわれる理由が、今なんとなくわかった気がする。
.
514人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フキ(プロフ) - 好きです!続きがとっても気になります!! (2022年6月15日 23時) (レス) id: 171aa22f7a (このIDを非表示/違反報告)
高橋かかし(プロフ) - あんこもちさん» アーーッそうでした!万死……、 すぐに修正します!ありがとうございました! (2019年12月7日 12時) (レス) id: ad9f3afa3e (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち(プロフ) - 鯰尾と骨喰は元大太刀ではなく薙刀では? (2019年12月7日 11時) (レス) id: 1c5e807086 (このIDを非表示/違反報告)
高橋かかし(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります´ω`* (2019年8月2日 13時) (レス) id: ad9f3afa3e (このIDを非表示/違反報告)
0dh38w152yz4d3p(プロフ) - とっても面白いです!更新楽しみにしてます(*^^*) (2019年7月31日 16時) (レス) id: b48a4a1bf4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ