無感情ブラック【刀剣乱舞】

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　瞬間、盛大に薬研様が顔を歪めた。かと思うと、無理やり膝と背中に手を添えられ、持ち上げられる。バランスを崩しかけ、うわっ、と思わず声を上げた。




「な、なに、何するんですか」




　狼狽えながら尋ねると、薬研様はぶすっとした表情のまま無言で離れへと歩き始めた。ガクンと身体が揺れて、反射的に肩にしがみつく。

　もしやとは思うが、これ、お姫様抱っこというやつなのでは。




「あの、ひとりで歩ける、っていったんですけど」




　そういうと、ギロリと射殺さんばかりの目付きで睨みつけられた。仕方が無いので、大人しく連行されておく。

　今まで知らなかったけれど──というか知る機会なんてなかったけれど──神様って、案外とガラ悪いのかもしれない。


　私がそう感慨深げに頷いていると、ぽてぽて薬研様の後ろについていたこんのすけが、ぼそりと苦言を呈するようにいった。




「今気づきましたけど審神者様、あなた、靴履いてませんね。どうされたんですか」

「脱ぎました。走るのに邪魔でしたので」

「……あとで新しいものを発注しておきますね」

「ありがとうございます」




　今更だけれど、本当にこの管狐は感情豊かな声を出す。

　管狐といえば文献では妖怪が鉄板だけれど、彼の様子を見る限り機械とも融合してそうだ……一体どっちなんだろう。


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