48話 ページ46
「どうしたんだい？そんなに慌てて」
「『連続殺人者』と思わしき遺体がロンドン郊外で見つかりました！」
それが何を意味するのか。
つまり『悪魔』にたどり着くためのカードがひとつ消されたと言うことだ。
「その遺体の近くにこれが」
赤毛の髪が巻き付けられたボロ布。
フレッドいわく、警察官に変装し、現場
Aは気味が悪いものにしか見えなかった。
どうみても人毛だし、布自体も薄汚れ臭う。
何より血が
並みの神経ならば手に取るどころか、近寄りたくもないだろう。
しかし、アルバートは驚くほど
「レディ…？」
え？
何故これを見てその名が出てくるのか。
Aにはさっぱりわからないがアルバートは確信しているようだった。
『レディ』と小さく呟かれた声は、どうして？なぜ？と言った
アルバートがそっと髪をほどくと、中に暗号のようなものが書かれていた。
「血文字」
あまりの不気味さに思わず後ずさりしたAとは正反対に、アルバートはそれを直視し続けた。
＊
テームズ川近く。
『売り出し中』の看板が立ったそこは、人気がないものの、作りがしっかりしている建物だった。
うずくまりじっと息を殺している女は、驚いたように目を見開き、ふっと笑った。
「ふふ。まさか、アルが来てくれるなんて」
アルバートが、顔を隠していたローブを脱ぐとレディは更に笑顔になった。
「もう、痛くて痛くて。死んじゃおうかなぁって何度も思ったんだけど、生きててみるものねぇ。アルに会えた」
アルバートが無言のままレディに触れると、脂汗が肌をじんわり湿らせ、息も弱々しい。
「別に死ぬのはいいのよ。ママの屋敷を出た時に覚悟はしてきたから」
アルバートは、レディが腹部に当てている手を取った。滲み出す血。
自力で手当てはしたようだが、出血が多い。
「ランスは……ローサの所に逝けた？」
見知らぬ名だが、ピンと来た。
殺人者の遺体近くには10代の少女の腐敗した遺体があったそうだ。
「あれは君が？」
「私の可愛いアル。どうしてかなぁ…。ただ大切な人の側にいたかっただけなのに。窓の外はこんなにキラキラしてて、光に満ちているのに。どうしてそんなちっぽけな願いさえ叶わないのかなぁ…」
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ゆりあ(プロフ) - 一気読みしてしまう程素敵なお話、ありがとうございます！各キャラが光り、ロマンスと悲劇、そしてシャーロック・ホームズのシリーズ独特の空気感が本当にバランスがよく混ざっていて、1回だけの評価じゃ物足りないです。これからも楽しみにしています！ (2020年11月3日 9時) (
レス) id: 45a22d77c5 (このIDを非表示/違反報告)
may - 面白いです！ (2020年6月23日 12時) (レス) id: f06d3bd476 (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈(プロフ) - 面白くて最初から一気読みしました！オリジナルの要素が面白く、かつ世界観やキャラの雰囲気はそのままで、これから先もとっても楽しみです。星10を1回しか付けられないのが残念です。応援してます！ (2020年6月17日 21時) (レス) id: a9fe05af76 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - とても素敵なお話に一気に読んでしまいました。とても2人の行く末がきになります！お身体に十分気をつけて、頑張ってください。 (2020年4月4日 19時) (レス) id: e522c50a47 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ななしさん» ななし様へ ご指摘ありがとうございました。訂正しました。 (2020年3月31日 17時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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