40話 ページ38
「それに、
馬の
「あぁ、やだやだ。見るに耐えないわ」
東と西を
浮浪者がよたよた歩く姿を睨み付け、女は不愉快そうに窓に備え付けてあるカーテンを引いたのだった。
ロンドン近郊。
眠り姫のモデルにでも出てきそうな独特の雰囲気がある屋敷に、レディの悲鳴が響いていた。
「どうしていけないの？ママ！」
「これは罠だよ。ランスとローサはお前をおびき寄せるための
懸命に訴えるレディに、ママは煙草をふかしながら答えた。
「それでも、あの2人は私の手で！！」
「レディ。お前は情に
情。
それは、裏で生きる人間の資質を問う問題だ。
他の誰でもない。
自分の主とも言えるママに不適合者と言われたダメージにレディは動揺を隠せない。
「そんなこと……！」
「じゃあ、何故、モリアーティ家の三兄弟をあっさり見逃したんだい？」
ビクッ！と、レディは体を揺らした。
「おかげでクロックとイリュージョンまで犯罪卿の前で顔をさらすことになってしまった。お前の失態だよ」
ぐっと唇を噛みしめ、俯いていると、ぷっかり煙を吐いたママは、ソファでのんびりサングリアを飲んでいたランドを呼んだ。
「ランド」
「はーい？なぁあに？ママ」
「お前がやりな。ランスとローサを始末し、あの聖人ぶった女の面の皮を
人懐っこい笑顔で「si」と一言返事をしたランドを見て、レディは「ママ！！」と抗議の声をあげた。
「レディ、言うことを聞きな」
そこまで言うと、ママはよっこらしょっと声をかけ、立ち上がった。
「話は以上だ。クロック、おいで」
「はい」
ママの去った部屋で、それまで黙っていたイリュージョンが、ソファーに座るようにレディを促した。
「レディ。ママの言うことを聞くじょ。」
「わかってる」
「ママは意地悪で言っているわけじゃないじょ」
「わかってる！」
八つ当たりぎみの声に、イリュージョンは困ったような表情を見せた。
「そうそう。大丈夫さ。俺は人間に興味がないから、一瞬で終わらせる」
だから嫌なのよ！！！
己のふがいなさに、レディは唇を噛みしめるしかなかった。
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ゆりあ(プロフ) - 一気読みしてしまう程素敵なお話、ありがとうございます！各キャラが光り、ロマンスと悲劇、そしてシャーロック・ホームズのシリーズ独特の空気感が本当にバランスがよく混ざっていて、1回だけの評価じゃ物足りないです。これからも楽しみにしています！ (2020年11月3日 9時) (
レス) id: 45a22d77c5 (このIDを非表示/違反報告)
may - 面白いです！ (2020年6月23日 12時) (レス) id: f06d3bd476 (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈(プロフ) - 面白くて最初から一気読みしました！オリジナルの要素が面白く、かつ世界観やキャラの雰囲気はそのままで、これから先もとっても楽しみです。星10を1回しか付けられないのが残念です。応援してます！ (2020年6月17日 21時) (レス) id: a9fe05af76 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - とても素敵なお話に一気に読んでしまいました。とても2人の行く末がきになります！お身体に十分気をつけて、頑張ってください。 (2020年4月4日 19時) (レス) id: e522c50a47 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ななしさん» ななし様へ ご指摘ありがとうございました。訂正しました。 (2020年3月31日 17時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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