6話 ページ4
その晩、Aは仕事で小さな結婚パーティーに呼ばれていた。
おめでたい歌を選んで何曲か歌ったあと、舞台の袖に戻り、帰り支度をしていたときだ。
「ねぇねぇ！見て！シャーロック・ホームズが来ているわ！」
「シャーロック・ホームズ？」
聞き覚えがあるような、ないような。
「私立探偵よ！知らないの？犯罪卿が時代の闇ならシャーロック・ホームズは時代の光！私達の味方よ！どんな謎でも解いてくれるんだから！」
「へぇ〜？凄いのね」
舞台衣裳から普段のドレスに着替えたAは手際よく荷物をまとめる。
物騒な事件が続いている以上、人通りがあるうちに帰りたい。
「なにそのつまらない反応！」
ええ…。突っかかられても、困る。
｢ごめんね。早く帰りたいから｣
「ははーん？さては私の彼氏の方がもっとすごいもん！ってやつ？お医者様だっけ？婚約者！スッゴいなぁ」
「そんなんじゃ…」
どこから情報が流れているのか、最近、やっかみの視線を向けられることが多く、Aは困ってしまった。
この世界、横の繋がりが強い。
なるべく穏便にこの場を切り抜けようとした時だ。
ドン！と、勢いよくウエイターとぶつかった拍子に持ち歩いていた懐中時計が会場の方へ転がっていってしまった。
「きゃ！す、すみません！！あ！！やだ！大変！」
あれはただの懐中時計ではない。
モリアーティ家の紋章が刻まれている。
滅多なことで人目に触れさせていいものではなかった。
慌てて追いかけていると、誰かの靴に当たって止まった。
「落とし物はこれか？」
「すみません！ありがとうございます」
「へぇ、純金製か。」
顔をあげて驚いた。さっきまで話題にのぼっていたシャーロック・ホームズ、本人だ。
止まった拍子に開いてしまった
それを見て、ホームズは退屈そうだった表情を
「アンタ、リアムの知り合いか？」
「リアム？ウィルの…、モリアーティ家のウィリアム様をご存じなんですか？」
「まぁな」
ウィルのお友達？
聞いたこともなかったけど、愛称で名前を呼ばせるくらいなんだから相当な仲だ。
「あ…、ああ！探偵さんだから！！」
「は？」
なるほど！！
「ウィルは昔からいろんな事を知っているんです！」
と、言っても子供の頃はルイスとばかり一緒にいたからあくまでルイスから聞いた話だ。
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ゆりあ(プロフ) - 一気読みしてしまう程素敵なお話、ありがとうございます！各キャラが光り、ロマンスと悲劇、そしてシャーロック・ホームズのシリーズ独特の空気感が本当にバランスがよく混ざっていて、1回だけの評価じゃ物足りないです。これからも楽しみにしています！ (2020年11月3日 9時) (
レス) id: 45a22d77c5 (このIDを非表示/違反報告)
may - 面白いです！ (2020年6月23日 12時) (レス) id: f06d3bd476 (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈(プロフ) - 面白くて最初から一気読みしました！オリジナルの要素が面白く、かつ世界観やキャラの雰囲気はそのままで、これから先もとっても楽しみです。星10を1回しか付けられないのが残念です。応援してます！ (2020年6月17日 21時) (レス) id: a9fe05af76 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - とても素敵なお話に一気に読んでしまいました。とても2人の行く末がきになります！お身体に十分気をつけて、頑張ってください。 (2020年4月4日 19時) (レス) id: e522c50a47 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ななしさん» ななし様へ ご指摘ありがとうございました。訂正しました。 (2020年3月31日 17時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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