97話 ページ47
ホイッスルの音と共に、不気味なほど会場が静まり返った。
ひゅっとボールが高く上がり、治の助走。
バシッ！！！
狂暴な破壊音と共に、相手コートに落ちた球は相手リベロを手を弾き飛ばした。
ど……わぁああああああああ！！
「「「「ナイサーーー！！いいぞ、いいぞ！お・さ・む！！もーおーいっぽん！！」」」
会場で試合の流れを見守っていたのは、こちらの夫婦も同じだ。
治のサーブに、環と裕次郎は立ち上がって声援を送る。
「よっしゃ！これで同点や。頼むで！治！！」
「負けたらアカンで！治！！」
いつ見ても息子の試合は心臓に悪い。
ウチの子は勝つ！
そう信じていても、案じる心に変わらないのだ。
会場中の注目を浴びながら、２本目のサーブ権を得た治は、不思議な感覚に襲われていた。
体は燃えるように熱いのに、頭は妙にさめている。
目の端に、ベンチに座る侑の姿が見えた。
すまんなぁ、ツム。
ひゅっとボールが高く上がる。
今回の出番は無しや。
強力な音をさせて、治のサーブは相手コートに落ちた。
＊
その晩 A宅 では、ぐつぐつと美味しそうな匂いをさせた鍋を、久しぶりに家族全員で囲んでいた。
「それでね！それでね！！治くんのサーブがバシッて相手コートに決まった後、追い風が吹くっていうのかな。会場中が押せ押せムードになったんだけど！！」
今日の試合の様子を興奮気味に語る未来は目を輝かせている。
よほど楽しかったらしい。
「それで勝てたの？」
「それがね、相手も強くてタイムを取られてから空気が戻っちゃったんだよねー」
聞き取れない聞き上手の圭子は「へぇ」とか「凄いのねぇ」とか返事を返しながらも、食事を盛り付けたり忙しい。
「で！結局28対26までいって、稲荷崎の勝利！！」
「治君は不満げだったけどね」
「あら。勝ったのに？」
「24対24になった時点で侑君が投入されたの。治君は侑君抜きで勝ちたかったらしくて」
ニヤニヤ笑う侑の横でムスッとした治。
対称的な双子の姿に会場はかえって盛り上がっていた。
出汁のきいた鍋を突っつきながら、ちらっと達也の顔を伺う。
達也も試合を観戦していたはずだが、先程からまったく口を開かない。
ダメだったのかな…。
ぴろん♪
「あ。私だ」
後にしなさい。と、叱られながらもスマホを覗いた未来は大きな目を更に丸くした。
「侑君！お姉ちゃん、侑君からだよ！！」
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飛燕(プロフ) - 更新が遅くなってすみませんでした (2019年5月30日 6時) (
レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか - 勉学頑張って下さいね、次の更新も楽しみに待ってます！ (2019年1月6日 20時) (レス) id: b3131cf386 (このIDを非表示/違反報告)
メグミ - はい！更新頑張ってください！！！ (2018年10月8日 18時) (レス) id: 98b5dd73cd (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 更新が遅れまして申し訳ありません。試験が続き、ばたついていましたが、引き続きよろしくお願いします！ (2018年10月6日 20時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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