92話 ページ42
うんうん。頷く菅野にほっとしながら、ベンチに向かう途中だったのを思い出した。
「お父さん、ごめんなさい。稲荷崎がピンチなの。私、行かなくちゃ」
ピンチという言葉に達也は違和感を感じた。
試合は順調に勝ち進んでいるように見えるが。
「今は治君達2年生が上手くリードしているけど、ここからはそうはいかないって、侑君が。」
必死なAの姿から察するに嘘ではないのだろう。ちらちらとコート内を気にしながらも、手にしたメモ用紙を決して放すまいと固く握りしめてる。
「それはなんだ？」
「あ、侑君に言われた内容をメモしたの。選手のクセとか。上からの方が全体が良く見えるからって言うから。」
少し気まずそうなのは、達也に反対されているのがわかっているからだろう。
「負傷したのは左肩なんだろう。自分で行かせればいいだ…」
「「「「ブゥウウーーーーーー！！！」」」」
不愉快そうな達也の声にかぶせるようなブーイング。
味方応援団からものにビクッと体が震えた。
「何やってんねん！！」
「ヤル気がないヤツは引っ込めや！」
一体何があったのか。見ていなかったAは周囲を伺うことしか出来ない。
「な、なに？」
「お見合いやな。」
菅野はしっかりと見ていたらしい。
成る程。
選手同士の間にボールが吸い込まれちゃったのか。
「お父さん。私はちょっとでもチームの役に立ちたい。勝たせてあげたい！今年こそ稲荷崎が日本一になるんだから！！」
思わぬAの主張に達也が目を見開いた。
「せや！！その通りや！A君、ようできた娘さんやないか！！ほら、行き！それを届けるんやろ」
バチン☆と、ウインクを飛ばされ一瞬驚いたものの、Aは再び走り出した。
一方でコート内では、嫌な雰囲気が広がっていた。
先程まで決まっていたレシーブがどんどん拾われ始めたのだ。
リベロが上手くカバーして場を繋いでいるが負担が大きい。
「来栖、まだ行けるか」
「うっす！余裕っすよ！！」
銀島にそう返したものの、決まらない焦りからプレーが単調になっていっているのが目に見えてわかる。
この程度のプレッシャーに押し潰されたら終わりやで。
パンパン！両手を叩き、「よっしゃ、切り替えていくで！」と声を張り上げた。
江狼のサーブから始まる。
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飛燕(プロフ) - 更新が遅くなってすみませんでした (2019年5月30日 6時) (
レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか - 勉学頑張って下さいね、次の更新も楽しみに待ってます！ (2019年1月6日 20時) (レス) id: b3131cf386 (このIDを非表示/違反報告)
メグミ - はい！更新頑張ってください！！！ (2018年10月8日 18時) (レス) id: 98b5dd73cd (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 更新が遅れまして申し訳ありません。試験が続き、ばたついていましたが、引き続きよろしくお願いします！ (2018年10月6日 20時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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