82話 ページ32
「どちらさんや」
つぶらな瞳がじっとAを見ている。
おばあちゃまカワイイ。
「治の嫁さんや」
「治の！はぁあ。あの子も嫁さんもらう年になったんか！」
握手を求めるように手を伸ばしてきたので、Aも手を差し出すと、存在を確認するように優しく撫でてきた。
しわくちゃの手が、年輪を刻む。
遠方に祖母もいるが、普段お年寄りと接することは少ない。
手を触れている。それだけで
「可愛ええやろ〜。裕次郎さんもエライ誉めとったんやで」
「オレは、侑と治のバアちゃんです。よろしゅうお頼み申します」
深々と頭を下げられ、こちらの方が
「よ、宜しくお願いします！」
「やっぱり縁側は冷えるわ。オカン、中入り」
「せやな。治の嫁さんやもおるしな」
ちょっとした段差でも転倒の危険があるため、環が手を貸し、ゆっくりと居間のこたつに到着したのだった。
手持ちの洗濯物を急いで物干し
「おばあ様はマザーのお母さんなんですか？」
「せやで。ウチは婿取りや。」
成る程。
なんとなく、環、侑、治。と来ているのにお父さんだけが『裕次郎』だったので違和感があったのだ。
その話をすると、義理のお母さんが石原裕次郎の大ファンで、息子にもその名前を付けたらしいと教えてくれた。
何はともあれ、治の家族と仲良くなれるのは嬉しい。
治と自分の家族も歩み寄れたら良い。
素直にそう思った。
＊
三限目が終わり、治が廊下に出ると、ばったり銀に会った。
「おーい。治。Aどないした？」
「今日は休みや」
「大丈夫なんか？最近色々あったからなぁ。体調崩さんようによぉ見といてやれや」
「おー」
これ渡しといて。と差し出された手紙には『招待状』と書かれてあった。
色々手伝って貰った礼を
喜ぶやろうなぁ。
ほくほくした思いでそれを受け取ったときだ。
『オカンやでー！オカンやでー！』
「なんや。その恐怖の着メロは」
「せやから
写真つき？
画面をタップすると、Aが、ばあちゃんと楽しそうにコタツを囲んでいる。
『おばあちゃまと時代劇見てるよ！』
久しぶりに楽しそうな顔を見られて、治は心からほっとしたのだった。
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飛燕(プロフ) - 更新が遅くなってすみませんでした (2019年5月30日 6時) (
レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか - 勉学頑張って下さいね、次の更新も楽しみに待ってます！ (2019年1月6日 20時) (レス) id: b3131cf386 (このIDを非表示/違反報告)
メグミ - はい！更新頑張ってください！！！ (2018年10月8日 18時) (レス) id: 98b5dd73cd (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 更新が遅れまして申し訳ありません。試験が続き、ばたついていましたが、引き続きよろしくお願いします！ (2018年10月6日 20時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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