79話 ページ29
そこまで言われて、ようやくハッと思い至った。
そうだ。負けず嫌いの双子があれだけ努力して敗退。追い討ちをかけるように、容姿や話題性だけでもてはやされ、内心どれ程の感情をもて余していたんだろう。
「私・・・、間違ってました」
「ん？」
「2人はいつも笑ってたから。カッコよくて頼りになって・・・、私とは違うんだって」
「違うわけないやろ。Aちゃんと同じや。傷付くし、泣くし。そんでもウチらにとったら世界一の息子やねん」
自分の息子を正々堂々「世界一」と言える親もどれだけいるだろう。
「あの子らのカッコ悪いところも受け止めてくれる？」
「はい」
気がつけばスルッと出ていた言葉に、環と裕次郎は少し驚いた顔をした後、夫婦そっくりのくしゃっとした笑顔を見せたのだった。
＊
翌朝。
にぁ。にー。
宮家の玄関で、ミカン箱に入った手の平サイズの2匹の子猫が、一生懸命に鳴いていた。
噂のオサムとアツムだ。
母猫に
地域猫とは
けれど、今はまだ寒い2月。
「アツム〜。おいで〜」
「なぁ」
Aが呼ぶとアツムは顔をあげ、愛想よく返事を返した。
「自分の名前がわかるなんてお利口だね。こら、オサム、ご飯はこっちだよ。どこいくの。もー、困った子だなぁ」
ふらっとどこかに行ってしまいそうなオサムを抱き上げると、頼りない温もりにいとおしさが募る。
「Aちゃん、ご飯あげた？ウチらもご飯やで」
はぁあい。と返事を返すと勢いよく階段を下りてくる2つの足音が聞こえた。
「オカン、行って来るで」
「うー。さぶ！」
「侑、待ち！弁当！」
「治君、行ってらっしゃい」
朝練がある双子の朝は早い。
ひょいとオサムを抱き上げ、手を振ってみた。
「ほら。オサムも。『治君、いってらっしゃい』」
「なんや嫌そうな顔してるで」
「うーん、そうかなぁ？可愛いいよ」
靴を履くのを見届ける。
こんな事さえ新鮮だ。
「あんまり浮気せぇへんようにな」
「うわき？？」
「コイツ、雄やろ」
オサムの事らしい。
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飛燕(プロフ) - 更新が遅くなってすみませんでした (2019年5月30日 6時) (
レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか - 勉学頑張って下さいね、次の更新も楽しみに待ってます！ (2019年1月6日 20時) (レス) id: b3131cf386 (このIDを非表示/違反報告)
メグミ - はい！更新頑張ってください！！！ (2018年10月8日 18時) (レス) id: 98b5dd73cd (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 更新が遅れまして申し訳ありません。試験が続き、ばたついていましたが、引き続きよろしくお願いします！ (2018年10月6日 20時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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