62話 ページ12
「しっかし、治の方で良かったなぁ。」
「え？」
「こう言ったら怒られるかも知れへんけどな、俺がオヤジやったら侑には絶対娘は渡さへんわ」
「うーん・・・。確かに」
説得する自信もない。
ぷっと笑いが込み上げてきたとき、向こうから治が駆け寄ってくるのが見えた。
「A！」
「治君・・・」
「ほな、俺は行くわ。素直になり。辛いなら辛い言わへんと、男はわからへんよ」
手を振りながら去ってく北の置き言葉を飲み込む余裕が、Aにはなかった。
息を切らすことなく走って来た治と目が合わせられない。
何を話せばいいのかもわからない。
短い沈黙の後、口を開いたのは治だった。
「北さんと一緒だったん？」
「あ、たまたまだよ。北先輩が通りかかって話しかけてくれただけ」
これは本当の事だから、普通に返せばいいだけなのに、妙に緊張感がある声になってしまった。
ど、どうしよう。
絶対に変だって思ったよね。
「・・・。・・・俺に言えへんことでも、北さんには言えるんか」
「え？」
「今のは、そういう事ちゃうんか」
「ち、違うよ・・・」
なんと返せば治が納得いく答えになるのか、頭をフル回転させるわりにまったく答えが
ど、どうしよう。
すぐに返事を返さなかったせいで、余計に変な空気になっちゃった。
北先輩も、ちゃんと言えって言ってくれたのに。
言おうと思ったのに、上手く言葉が出来ない。
「何で俺らの事なのに、別の男に相談するん？」
早く何か言わなくちゃ・・・！
どうしよう。どうしよう！
サーッと血の気が引いていく。
ズキッ！！
い。痛・・・！
鈍い腹痛まで襲ってきて、もう、全てがめちゃくちゃだ。
「もうええ。」
「お、治君？」
びくっと体が飛び跳ねるほど、低い声だった。
もういいって何が？？
「別の男がええ言うなら、北さんでもツムでも好きにせぇ」
まるで、突き放すような言い方だった。
私を見限ったような。
違う。違うよ。治君以上の誰かなんて・・、そんなわけない。
ズキズキ胸と一緒に腹部が痛む。
私はただ・・・！
ぐっと唇を噛んだ。
誰もが。
皆んなが言いたい事を思った通りに言えるわけじゃない！！
我慢に我慢を重ねてきたものが、ブチっと
「人が
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飛燕(プロフ) - 更新が遅くなってすみませんでした (2019年5月30日 6時) (
レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか - 勉学頑張って下さいね、次の更新も楽しみに待ってます！ (2019年1月6日 20時) (レス) id: b3131cf386 (このIDを非表示/違反報告)
メグミ - はい！更新頑張ってください！！！ (2018年10月8日 18時) (レス) id: 98b5dd73cd (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 更新が遅れまして申し訳ありません。試験が続き、ばたついていましたが、引き続きよろしくお願いします！ (2018年10月6日 20時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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