-29-『残念だけど』 ページ30
その夜、カフカの死体を埋めたところには２人、人が来ていた
そいつらはカフカの名前が彫ってあった墓石をどけ、カフカが眠っているかどうかを確かめようとしていた
が、
「ねえ、人が眠ってる墓掘ろうとするって、ドユコト？」
「「っ！！」」
「あはっ。そんな驚くことじゃないジャン？」
ケラケラと笑う１人の修道女
それは２人のターゲットでもある
「そっちから来てくれるとはね。驚いたよ。でさ、カフカはこの中なの？」
「あの蜘蛛のコト？さあ、どうだろうねー」
「…」
「“カフカめ…。手柄を独占するつもりだったな…”」
「「！！」」
「“けど、これでひとつハッキリした…”」
『ニードレス』に勝てるのは『ニードレス』だけ
「“敵も…ニードレスって事だ”」
「…何者なの？君…。ただの人間ってわけないよね…」
「「人の思ってることが読み取れる能力者？」」
Aは２人のうち、１０歳前後の少年とわざとかぶせて同じ台詞を、台本を読んでいるかのように言った
「！(やっぱり…)」
「とか思ってたんでしょ？わかりきってんダケド？」
「「は？」」
しかし、Aは能力者ではない
「残念だけど、ボク、能力者じゃないんだよねー。アホ」
「アっ！！？……よくそんなこと、シメオン四天王のボク達に言えるね…？」
「だって事実だもん。全部、ぜんぶ。ゼンブね」
あははっと笑い声がブラックスポットに響いているような気がする
まるで、何も知らない、無邪気な子供の楽しそうな笑い声のよう
でも、どこか狂気を含んでいる
「何で殺気立ってんの？別にすぐ殺したりしない。ボクはただ墓が荒らされてないか様子を見に来ただけ。そんなに中が気になるなら、掘れば？」
「敵がいる前でゆっくり掘ってられっかよ」
「そう？ゴメンね？」
「ねえ、どうする？コイツ先に潰しとく？」
「…そうだな……」
「あははっ。ココで殺されるのはイヤだなー。ボクにはまだしなくちゃならないことがあるんだ。じゃあね。
シメオン四天王「左天」、「右天」」
「「！！」」
Aはそれだけ言って２人のもとから去っていく
それを２人は呆然と見ていることしかできなかった
「残念だけど、そこに蜘蛛の死体は無いよ？」
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作者名：軍時 | 作成日時：2015年3月25日 22時
