歷史ノ埋メ方左大臣編 (ページ18)

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「噂を聞いてな、尋ねたんだ」

「英ちゃん、とても頑張っているでしょう？時々は様子を見たいのよ、我が娘だもの」

“我が娘”、母はそう言ったが、前に髙田は両親と縁を切った。

大久保などの手助けもあり、今は戸籍上２人の子供ではない。

このことは２人も承知済みなはずだが、ここまでして自分を娘に戻したいのは何故？

「英、帰ってこないか。こんな私が言うのもなんだが、許してほしい。家はここでいいから、私たちの娘に」

「そうよ、私たちなら英ちゃんを良い政治家にできるわ」

勘は間違ってなかった。

きっと、この２人は、私の力や今までに手に入れた地位を使って、髙田家を大きくしようとしているんだ。

「私に、戻るつもりは、ありませ──」

「英、ちゃんと考えてくれ」

「周りにいる、地位だけで心なんて無い政治家といるよりずっと良いわ」

周りの政治家も馬鹿にするのか。
それは許せなかった。

確かに彼らは大勢から批判されているだろうが、いい人しかいない。

こんな自分に手を差し伸べてくれたのは、紛れもない彼らなのだから。

「ふざけないでください」

「笑わせるなよ、至って真剣だ」

ふつりふつりと、怒りが湧いてくる。

分かっていたことだが、こいつらは人間として終わっている。

「英ちゃん、戻ってきて、あんな人たちに染まらないで」

「一緒にまた、楽しく暮らそう」

「だからっ、私は──」

こんな奴らに、付き合ってなんかいられないと思った。