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夕方まで家族団欒を楽しんで、花火がよく見える川沿いにある和食屋さんにご近所さんと集まった
もちろん剛ちゃん一家もいるわけで、お母さんはお目当ての人を見つけるなり「剛ちゃーん!会いたかったわー!」と絡みついていた
花火が始まる前からお酒や料理を楽しんで宴会状態
隣に座る剛ちゃんもお酒をグイグイ飲んで楽しそう
一発目の花火が上がる音がして、私は一人窓枠に腰を下ろした
目の前に広がる赤や緑の大きな花火
「…………きれーい」
3階から見る花火はちょうど目線辺り
川沿いを見下ろせば家族やカップルが楽しそうに歩いていて、羨ましかった。
私も一緒に見てみたいな……。
「臣さんと見たかった?」
「は?」
声がした方を見ると、剛ちゃんが目の前で床に座って笑いながら見上げてる
「臣さんのこと、好きなの?」
憎たらしいその笑顔、殴ってやりたい!
「別に好きじゃないよ!なんなの?なんでそんなに臣くんの話ばっかりするの?」
家族もご近所さんも居る前で大きい声が出せず、こそこそ話な私たち
「絶対臣さんのこと好きでしょ?ちょっと臣さんの名前出しただけでそんなにソワソワしてさー。誰だって気付くっつーの」
もう剛ちゃんからは、逃げられない。
「わかんないの……好きって気持ちはあるけど、他の女の子と話してたり、腕組んで歩いてるとこ見たら……好きでいるのが辛いっていうか、付き合ったら絶対嫉妬して困らせる」
そういう仕事って割り切れるほど、私は大人なんかじゃない。
好きな人がどこで誰といるか気にしながら待つ自信は私にはないよ。
「まぁ確かに。ホストと付き合うって、簡単なことじゃないよなぁ………ねぇ、俺の話していい?ビックリするかもしんないけど」
「うん、なに?」
ジョッキに入ったビールを飲み干し、剛ちゃんは口を開いた。
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作者名:taka | 作成日時:2016年4月19日 23時