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あの日から一週間が経った。
仕事を休んでばかりもいられないし、このまま籠っていても何かが変わるわけじゃない
私はやっと今日、東京に戻る。
最寄駅で電車を待つホームで、手に持った携帯
小さく震える指で、彼の番号を呼び出した。
「もしもし、A!?」
すぐに繋がって、耳に届いた臣くんの声は焦ってるような驚いているような………喜んでくれているような、そんな声。
「…………臣くん」
「A、電話くれてありがとな……待ってたよ」
久しぶりに聞いた私の心を擽って癒してくれる臣くんの声にぎゅっと胸が締め付けられて、枯れる事のない涙がまた溢れ出す。
「これから東京に戻るの………だから
………臣くん」
「A………」
「会える?」
「会いたい」
2人の言葉が重なって「同じこと言った?」ってクスクス笑い合った。
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待ち合わせた歌舞伎町の広場に、大好きな大きな背中を見つけた
…………今すぐ抱きつきたい
そんな気持ちが私の足を走らせる。
「……臣くん」
小さく呟いてその声に振り返る綺麗な横顔を見た瞬間、心臓がドクンと波打って立ち止まった
「A!!」
微笑みながら駆け寄る臣くんに、こう願う
お願い………来ないで
やっぱりその笑顔を消したくない。
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このまま一緒に居ても私はあなたを苦しめる
だけど、離れたって結局はあなたを苦しめる
考えても考えても何が正しいかなんて分からない
私は臣くんのことが好きなのに………
臣くんが大好きだから………
「…………別れて、ほしいです」
頭の中も心の中も臣くんで溢れてる
でも、私の心も体もあなたをまた拒んでしまったの。
私の口から出た言葉が全てなんだと思う。
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作者名:taka | 作成日時:2016年4月19日 23時