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私が臣くんのそういう姿を見たくない事を分かってくれている美南と弥生は私の手を引こうとしてくれている。









でも、私の足はなかなか動いてくれない









「………臣くん」









臣くんが目を合わせながらどんどん近付いてくる









困ったような、気まずそうな顔をしながら。









すれ違う直前に逸らされた視線









たぶん、臣くんは素通りをしようとしたはずなのに









「凛々花さんですよね?」









声をかけてきたのは、エースの彼女。









「えっ!?」









彼女の言葉に一番驚いているのは、臣くん









私の前に立つ彼女に解かれた腕を掴んで「葉月ちゃん」と声をかけている









この子、葉月ちゃんっていうんだ。









「私のこと、ご存知なんですね」









「凛々花さん、有名でしたから。知らない人の方が少ないんじゃないかなぁ?臣だって知ってたでしょ?」









「え、いや……俺、ごめん、知らなかった」









私が働いてた時には、歌舞伎町に居なかったからね臣くん。









「えぇー?知らなかったのぉ?ネットにも顔出ししてたし、すぐヤレるって有名だったんだよぉ?」









「「「はっ!?」」」









私以外の3人が綺麗にハモる。









「あんた何言ってんの?んな噂聞いたことねぇわ!」









啖呵をきったのは弥生









「ねぇ、臣くん、もう行って?……早く!」









珍しく声を荒げる美南









「葉月ちゃん、行こう」









私の目を見ずに彼女の手を引く臣くん









エースである彼女の前で私を庇う事が出来ないのは分かってる









エースを降りられると売上が落ちるし仕事のためにはエースは特別









でもね、臣くん









分かってるけど、悲しいよ。









「マジであの女なんなの?ムカつくー!!」









「弥生、怖ーい!でも私もあいつ許せない!地獄に落ちろー!!」









2軒目の静かなバーで大声を出す2人に苦笑いしながら、震える携帯を取り出した









"仕事終わったら、家行くから"









臣くんからの短いメール









早く会いたいよ、臣くん。

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作者名:taka | 作成日時:2016年4月19日 23時

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