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「少し前から指名してくれてる人なんだけどさぁ、毎回何もしないの。添い寝するだけとか、話して終わったりでなんか怖いんだよねぇ」
「でもそれで稼げるならよくない？ラッキーじゃん」
美南の言う通り、何もせずに稼げるのは弥生の職業的には本当にラッキーかもしれない
けど体が目的ではないとしたら……
「ラッキーだけどさ、毎回好きだよって言ってくんの！最初は社交辞令かなって思ったけど、なんかだんだん……」
「本気っぽいの？」
私がそう聞けば「たぶん、本気」と鞄から小さな紙切れを出してきた弥生
「え！？なにこれー、怖い」
引き攣る美南と読んだ彼からの手紙
"あなたを愛しています。僕にはあなただけ。"
短い言葉に乗せられる重たい彼の気持ち
彼の目的は間違いなく、弥生自身だ。
「店長に話して出禁にしてもらったら？」
「私もAと同じ意見だなぁ。これは危ないよ」
「うん、今度相談してみる」
この時、今すぐにでも電話をするなりお店に行かせるなりしていたら……。
.
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「よーし！２軒目行こうー！」
右手を突き上げてスキップする美南にゲラゲラ笑う私と弥生
突然足を止めた美南が私たちに振り返り
「あーあのさ！あっち！あっち行こ！」
と焦りなから向かってる方とは逆方向を指差して私の肩をグイグイ押している
「なんなの急に！」
めんどくさそうに言いながら美南を退かした弥生は前を見ながら「あー、ダメだわ」と呟いた
「えー２人してなにぃ？」
その先になにがあるのか気になる私も同じ方向に目を向けた
だけど、無理に見なきゃ良かったとすぐに後悔
胸を押し当てるように彼の腕に絡みつく、大きな瞳の女の子と
私の好きなシルバーのスーツ姿のかっこいい臣くんが歩いていたから。
胸が潰れそうなほど、私には輝いて見えた
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作者名：taka
| 作成日時：2016年4月19日 23時
