私はラメントーソ (ページ10)

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『だから、私は思いっきり失恋したの。いい？これ以上傷抉らないでね？』

克樹がなんだか納得しきれないような顔をしてう〜ん、なんて言った
だけど、私が嫌な顔をしていることに気付いたのだろう

結局彼はそれ以上は何も聞いてこなかった。それどころか、私の傷に寄り添うようにもう一杯ビールを頼んでくれて飲め飲め、なんて私の手にジョッキを握らせた

少しずれてるけど、それが克樹の優しさなんだろうなと思うと少し感動して、私は一気にビールを飲んだ

なんだか少し気持ち悪くなる気もしたけれど、なんとも言えない複雑な気持ちを消すためにどんどんと喉にビールを流し込んだ
…すごく美味しい

横でハイピッチで飲んでいた克樹もいい感じに出来上がっていて、なんだか混沌とした空気になってきた
頭では実況をできている私でも動きはおぼつかないし、トイレに行く時も千鳥足であった

席に戻るとさらに出来上がった克樹に

『もう一軒どう？』

と聞かれたので、同じような酔っ払いの私も

『いいね！行こ！』

なんて言って二人しておぼつかない足でカラオケに向かうことにしたのだ

…そういえばカラオケなんて何年か前に矢花と行った以来だな…

付き合っていた時は気付かなかったけど、克樹は案外歌がうまい。

もうベロベロな私をよそにA歌わないなら俺歌ってもいい？なんてデンモクから何曲も何曲も予約を入れる

そして、克樹は歌い私は横から時々野次を入れるくらいの状況だった時、克樹の顔がなんだか急に真剣になってデンモクの演奏中止ボタンを押してしまった

…ん？

あれ、、

私なんかした？

野次入れたのがまずかった？

冷え切った空気の中、恐る恐る克樹が口を開こうとしているのを感じたので、私は黙って待つ事にした

『ねえ、あの時さ…なんで俺の事好きじゃなくなったの？』

音楽が止まって、克樹の寂しそうな声だけが宙ぶらりんな状態だ

『ごめん…』

ぶっちゃけなんで別れたのか全く覚えていないから、正直聞かれても困るなと思っていたんだけど…

『なんてね、別に困らせたいわけじゃないんだけどさ…でも、、なんかずっと心残りだったんだよね』

『心残り？』

『うん。もしかして嫌な事しちゃったかな、、とか？』

『…そんなわけないよ、、』

罪悪感のついでに、急に記憶が蘇ってきた
…確かしょうもない嫉妬をして耐えられなくなって自分から別れを告げたんだっけ

なんて自分勝手なんだろう、、