私はラメントーソ (ページ7)

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なんだかソワソワしたまま昼からの仕事に取り掛かる
何を話すか、どうやって話すか
全てのことに対してどうして良いかわからず、頭の中をなにかよくわからない感情が支配していた

携帯が鳴れば異常な程に驚いてしまうし、人の少し大きな声でさえも驚いてしまう始末だ

『阿達さん大丈夫？なんかずっとソワソワしてない？』

『あ…すいません、、ちゃんとやります！』

なんだか上の空のまま楽譜の発注をしていたら、先輩にやんわりと注意されてしまった

ダメだ…気を引き締めないと

意識を少し戻して仕事に取り掛かると、山積みの楽譜の上に置いてある薄ピンクの私の携帯がブルブルと震えているのが見えた

周りのデスクの山積みの書類を落とさないよう、慎重に自分のデスクまで小走りをして携帯を取る

電源をつけるとそこには克樹という文字と共に、この辺でどっか良い店知ってる？といった内容のものであった
私は、前に矢花と行った店をいくつか紹介してそのまま仕事に戻る

またデータの打ち込みやら何やらをしているうちにスマホの震えを感じたので見てみると、そこにはまた克樹の文字が

…返信早くない？
あの人仕事してんの？

そんな疑問に苛まれるが、そういえばあの人はいくつかのことを同時にできる天才みたいな人だったなぁ、、なんて思い出して懐かしさと羨ましさに襲われる

…そういえばあの頃からずっとそうだったな、、

私はなんでもできる克樹に尊敬の念を抱くと同時にいつも少しだけの劣等感を感じていた。

あれも青春だし、今思ったらバカみたいだなとも感じる

全ての思いに蓋をして、克樹にじゃあ後でね！なんてメッセージを送る

あんなにモヤモヤしていた頭と心は一気に晴れて、前向きに仕事を始めることができた

『阿達さん、これ飲む？』

『…珈琲ですか？』

『うん』

『飲みたいです！』

『そう？じゃああげる。二本買っちゃったし』

『ありがとうございます！』

『なんだか晴れない顔してたからね、、気持ち切り替えて、、ね？』

『はい！』

二本買っちゃったなんて嘘なんだろうなぁ、、と思う
きっと私が仕事に身が入ってない事に気付いてくれたんだろうと思う

…本当は珈琲、未だに飲めないけど少しだけ無理をして喉の奥に押し込んでみた

確かに苦いけど、良い香りがして悪くない、、と、思う

私はさらに上機嫌で克樹からのメッセージを待つことができるようになった