私はラメントーソ (ページ32)

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．ページ32

『き、、、危篤って、、あの危篤？』

危篤…回復の見込みがほとんどなく

死に近い

『嘘…お母さん、、死んじゃうの？』

『まだわからない。でも、とりあえず慶を連れてさっき言った病院に来てほしい』

私から漏れた言葉を聞いた慶も真っ青な顔をしている
誰だって親が危篤であるなんて聞かされたらびっくりしてしまうだろう

私だって今にも倒れそうだ

とりあえず中村さんとの電話を切ってタクシーを呼ぶ
そして、まだ心ここに在らずな慶を引き摺り出して外に出た

『…お母さん…死んじゃうのかな、、』

『…知らなかった、、お母さんが病気のことも、、苦しんでたことも…私全然知らなかったよ、』

『姉ちゃんは悪くないよ』

そんな真っ青な顔をした慶に言われても、、説得力がないよ、、と少し悲しくなる

私は…あの時の私は正しかったのだろうかと未だに自問自答し続けてしまう

『私のせいだ』

慶を守るために母親と縁を切ったけど、その決断が結局慶の首を絞めてしまった
今の状況でも自分を責めるしかない無力さにまた嫌気がさした

…

病院についていざ病室の目の前に来ても母親と対面する勇気はない

意気地無しな姉に嫌気がさして弟が病室のドアを慎重に開けるとそこには意外と元気そう…だけど…だけど、、数年ぶりに会う母親の体は枝のようで頭にはニット帽、目の下には青いくま

…お母さん、、かな

そしてもっと驚いたのは、中村さんと、実の父親の隣に

嶺亜がいたことだった

『…嶺亜？』

信じられない、どうして嶺亜がこんなところにいるの？

病院に通ってたのって、お母さんのお見舞いのためだったの？
でも、どうして？

『A…実は、、』

嶺亜がそっと口を開くけど今はなにも聞きたくない
…泣きそうだ。素直に。

『やだ、聞きたくないけど…聞く。なに？』

『俺ら…』

『嶺亜』

嶺亜の言葉を弱々しい声で遮ったのはもちろん母親だっだ
…そんなか細い声で…弱々しい声で喋らないでほしい

『私が言う』

『あのね、A…』

『言わなくていい！！』

『…お母さん嶺亜と付き合ってるの』

『お母さん…』

そんなことだろうと思った
と言うのが正直な感想だ

だけど嶺亜のこともお母さんのこともよく知っているから…なんだかあまりしっかりと来ないような感じもして私の頭は完全に考えることを放棄してしまった

『…そっか』

絞り出すように言った言葉が病室で虚しく響いた