私はラメントーソ (ページ27)

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『…不謹慎だとは思うんですけど、、』

『なに？』

『怒らないでくださいね』

『なによ、怒らないってば』

『もしですよ？もし、、その…本当に嶺亜君にもしものことがあったら、、』

『何言ってんのよ不謹慎なこと言わないで！』

私は感情が荒ぶって矢花の襟元を掴んでいた
…まずいまずい、、怒らないって約束したのに…

『怒らないって約束したじゃないですか…』

『ごめんごめん…』

冷静になるために、私は矢花のお猪口にお酒を注ぐ
…こんな真剣な話、、飲まないとなんだか恥ずかしくなっちゃうから…

『…そうね、、嶺亜がもし大変な状況になってるなら…私は何をしてでも助けると思う』

『言うと思いました。まだ好きなんですか？』

『何度も言わせないでよ。好きなんてもんじゃないわよ』

『…先輩、かっこいいですね』

矢花が心底感心したような目線を向けてくるけれど、私にはそれがなんだか恥ずかしい
…やめてほしい、、

『なんか…気持ち悪い』

『なんですか、飲み過ぎじゃないんですか？』

『…それもあるけど、、なんかイライラして…いみわかんない、、』

『気分転換にどこか行きますか？』

『いいわね、どこ行く？』

『…カラオケしか思いつきません。すいません…』

カラオケもいいけれど、なんだか今は歌う気分にはなれなくて、嫌な考えがどんどん出てくる自分の頭にただただ嫌気が差していた

『…映画でも行く？』

『いいじゃないっすか、俺見たいやつあるんすよね』

矢花が自己主張するのは本当に珍しい
だからその主張になんとなく耳を傾けようと思う次第である

『あの、余命が何日かの…花嫁みたいな』

『なにそれ。矢花って意外とロマンチストなんだね』

『いいじゃないですか』

『悪いとは言ってないけど？』

『…あ〜、これ慶も見たいって言ってた』

『慶君、海外にいたら日本の映画すぐ見れないから不便ですよね〜』

『…あれ？矢花に言ってなかったっけ？…慶ね、日本の大学に受かってこっちに戻ってきたのよ』

『そうなんですか？…知らなかった』

日本の大学に通いたい
そう言った慶に中村さんは文句ひとつ言わずお金を用立ててくれた

慶は中村さんにどうにか恩返ししたいと国公立大学に合格
晴れて今年の春から大学生となり、キャンパスライフを送っている

『じゃあ、慶君も是非呼んでくださいよ』

『分かった、言ってみる。矢花に会いたいって言ってたわよ』