私はラメントーソ (ページ26)

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第八章　瀬を早みページ26

『そうは言うものの…この一年間、、何もなかったよね』

『確かに…そうですね』

『全く、克樹もお騒がせなんだから』

『心配だったんじゃないんですか？許してあげてくださいよ』

『そうだけど…』

克樹と矢花と過ごしたあの飲み会の日から今日で丁度一年の月日が経とうとしている

幸せ…とまではいかないかもしれないけど特に不幸なこともなく、みんな元気に過ごしていた

仕事で沢山失敗もしたけれど、そのたびに助けてくれる人がいるということを感じるし、寧ろこれって幸せな方じゃない？

友達が増えたと言うこともなかったけど月に一回くらい矢花が誘ってくれて、二人で飲んだりもした

まあ唯一、不満があると言えば出会いが少なくて彼氏ができないこと？
…まあそんなこと不幸のうちには入らない。そのくらいこの安定した生活は何にも変えられない大切なものだ

『ね、矢花』

『なんですか？』

『超バカなこと言うけど聞いてもらってもいい？』

『いつもじゃないですかそんなの』

『うるさいわね』

そう言いながらも矢花はなんだかんだこちらに真剣に向き合ってくれる

『私、克樹があんなこと言うからてっきり…嶺亜が死んじゃうのかと思った、、』

『嶺亜君…ですか？』

『うん』

『…先輩、俺もバカなこと言っていいですか？』

『いつもでしょ？』

『はいはい』

『…俺、髙さんのあの話聞いてなんでかわからないんですけど、自分が死んじゃうかもって…なんか予言されてる気分になったんすよね、、』

その言葉を聞いてすぐは、何故だろうといった気持ちでいっぱいになっていたけれど、少し考えて分かったようなきがした。

恋人であった克樹がその関係をやめてまで友達になろうと言い、そして、悲しいことがあるだなんて仄めかすようなことを言われたら私が矢花の立場でも自分の死を宣告されたような気分になるだろう

逆に私がどうしてその対象を嶺亜だと思ったのか不思議なくらいだ

『…矢花、どこか具合悪いところはない？』

『人間ドック行きましたけど、異常無かったですよ』

『…じゃあ、、じゃあ！人に恨まれるようなこととかしてないよね？』

『俺が誰かにグサッとやられるとでも思ってるんすか！？』

『だって…心配だし、、』

『俺は平気です』

でもやっぱり…矢花が大丈夫となると
…嶺亜

私は交友関係が狭いからもうそれくらいしか考えられない
しかも、嶺亜…病院に行ってたし、、