私はラメントーソ (ページ3)

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矢花と別れたその後、意識半分で電車に揺られていると膝に置いたスマートフォンがプルプルと震えているのを感じた

意識が朦朧としている中でなんとかスマホのロックを解除すると目に入るのは克樹からのメッセージだった

文章の中には、久しぶりに会えたことの喜びと、ご飯のお誘いがあって私は急いでスケジュールを確認する

克樹には矢花の日程も確認しておくという旨のメッセージを送って再び私は意識を手放そうとする…

だけどふと、視界に懐かしい姿が入ってきて私は急いで目を擦る

『…嶺亜？』

今や暗い髪でスーツだから私が恋焦がれた彼とは全く違うけど確かにあの端正な顔立ちとあの身長は嶺亜だろうと思う

少し遊び心が出てきて、嶺亜に足音を立てないように忍び寄ってみた

『れーいーあ！』

そう肩を叩いたら、ゆっくりと嶺亜の顔がこちらに向こうとする
…元気かな、、
そんな私の願いも叶わず、振り向いた彼の目の下には一朝一夕でできたものではないようなしっかりとした隈があってなんだか心臓がギュッと掴まれる感覚になった

『A…久しぶり、、』

『嶺亜…もしかして仕事忙しい？声かけちゃってごめん、、』

『全然？元気な姿見れてよかったよ』

『嶺亜は…元気、、そうではないね…大丈夫？しっかり寝れてる？』

『まあね、最近ちょっと用事が立て込んでて、、』

『彼女は？』

『彼女？』

『ほら、私が三年生の時、付き合ってたじゃん！』

『あぁ、もうとっくに別れたよ…すっごい振られ方したよ』

嶺亜の笑顔…今日あってから初めて見たな…
そういえば、、矢花もパートナーがいないってことを言うべき？

『Aは？今彼氏とかいないの？』

『もちろんいないよ！あ、矢花もいないって言ってたな〜』

流石になんか白々しすぎた？
嶺亜は少しだけ意味ありげにふ〜んなんて呟いてまた私たちの間に沈黙が流れる

『あっ、俺次で降りる』

『あれ？嶺亜って最寄りそこだっけ？』

『いや、病院行くんだよ』

『病院？…こんな時間に病院って、、』

時計を見てみると夜の九時を指していた
こんな時間に診察なんてやっているわけがないし、お見舞いなら尚更ない

『あっ、じゃあ俺降りるわ。また飯でも行こうよ』

『嶺亜も元気でね』

嶺亜が電車を降りる姿がなんだかスローモーションで見えて、私は衝動的に彼の方に手を伸ばそうとするけれど当然届くはずもなく私の手は宙ぶらりんになった

もしかして嶺亜…何かの病気？