僕はアンプロンプチュ ページ49
なんとなく三人でダラダラとテレビを見ながらたまに思い出したように誰かが発言してその話題に他の二人が乗っかる
一見カオスだけど俺からしてみると普通に心地のいいその空間に慶君が一石投じた
『お姉ちゃんと矢花君って親友みたいなもんでしょ?』
『親友?私と矢花が?ないない、、』
『普通の友達?それにしてはねえ、、』
慶君がなんだかいつもに増して楽しそうな顔を俺に向けてくるから
『普通に先輩と後輩だよ、それ以上でもそれ以下でもないって』
そう笑いながら言った
だけど慶君はやっぱり腑に落ちないと言った様子で矢花君はもう家族みたいなもんだとか、俺は矢花君が大好きだとかよくわからないことをぶつぶつと言っていた
慶君もきっと色々あって参っているんだろうな、、なんだか少し様子がいつもと違う
『…てか前から思ってたんだけどさ、矢花って彼女作んないわけ?』
『作んないってか、環境が環境だし作りづらいんですよ、、』
『まあ女ばっかって言うのもなんだか考えものだよねえ、、…あ、女で合ってる?』
女で合ってる?
これは遠回しに女の人を恋愛的対象として見ているか否かという質問ってことでいいのか、、?
…なんなんだいきなり、、
『いや、普通に…はい。俺は女の人が好きですよ?』
『あぁ…そっか、、』
え?なんで先輩残念そうな顔してるの?俺が異性愛者でいたら何か都合の悪いことでもあるのか、、?
俺はなんとなく床に目をやるとピアノの楽譜がコピーされたそのままパラパラと散らばっているのが見えた
『あれ、これ元々ここにありました?』
『あーこれね、今日印刷して忘れてたわ』
先輩が急いで片付けている隣で俺も軽く手伝いをする
『…アンプロンプチュ…』
『あぁ、その楽譜輸入盤だからね』
『アンプロンプチュってなんすか?』
『即興曲のことよ。形式にとらわれない形ってこと』
『へ〜そうなんすか、、』
恋人でも親友でもないのに深入りをして先輩の事情を知ってしまっている俺は何者なのだろうか
先輩と俺はどんな形で括られてるのだろうか
ふと思うことがあるけど、今はまだ形式にとらわれない、そう、アンプロンプチュな関係だ
度々即興で変化するよくわからない関係
だけどそれが変わる事になるなんてこの時の俺はまだ知らない
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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231
作成日時:2022年4月15日 22時