僕はアンプロンプチュ (ページ31)

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『はあ、わかったわかった。そのアーティストの曲でいいからさ、なんの曲やるか決めてる訳？』

こういう時、改めて先輩は先輩であり、年上なのだなと感じる
ヒートアップした俺を宥める先輩はあまりにも新鮮すぎた

『俺、家にCDいっぱいありますよ』

『あ、ほんと？聴きに行っちゃおっかな！』

『来るんですか？持って行こうと思いましたけど、、』

『それでもいいけど、曲選びにそんなに時間掛けてられないから聴きに行っていい？』

『いいっすけど、いつですか？部屋汚いから…片付けないと、、』

『今更そんな綺麗な部屋でお出迎えしてほしいなんて思ってないからいいわよ。とりあえず明後日はどう？』

『いいっすよ？俺結構持ってるから長期戦になるかもしれませんけど』

『じゃあ私何か買ってくよ。食べるもの』

『いいんですか？』

『うん、少しばかりのお礼ね』

自分の大好きなCDを人に見せるだけでご飯が食べれるんだからいいよななんて喜びを噛み締める

それとは裏腹に先輩は少しよそよそしい態度が抜けていなかった

『どうしたんすか？』

俺がそう問いかけると、先輩は真面目な顔になって

『もし、優勝したらだよ？…優勝したら、、本当に百万全部貰っていいの？ほら、せめて山分けとか、、』

あまりにも申し訳なさそうに先輩が言うもんだからこちらもため息をついてしまう

『そんな事気にしてたんすか？俺と先輩の仲なのに？』

『親しき仲にも礼儀ありっていうじゃん』

『それはそれ。これはこれですよ。俺は先輩に気持ちよく百万を受け取ってもらうために二人でやろうって誘ったんですから』

『全額私に受け取らせるため、、？』

『そうですよ。困ってる時はお互い様です。それぐらい気持ちよく受け取って下さいよ…って言いたいところなんですけどまだ優勝してませんからね、、！忘れそうになりますけど』

『確かに！忘れてた』

でもなんとなく矢花とならいける気がするよって先輩が呟いて笑った
その言葉が心の底から嬉しくて俺はこの人に百万を手に入れてほしいと強く感じた

『大丈夫ですよ、俺達何年の仲だと思ってるんすか』

『地味に腐れ縁だよね。高校も同じで、大学も同じで』

『小学校一緒に過ごしたぐらいには一緒にいますよ』

『例えわかりにくっ！…六年か、、早かったね』

『最初髙さんの彼女でしたもんね〜』

『もう！終わったことは言わないでよ！！』

『いやいや、初対面の印象はずっと変わらないですって！！』