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第五章 俺と新生活と先輩 ページ1

冬が来て、そして春が来た

嶺亜君は音楽関係の会社に見事就職をし、琳寧君は猛アタックにより見事先輩と付き合っていた


俺だけが何も変わらず…いや、一つ変わったことと言えば少し好きだったアーティストに隠し子騒動が出たことぐらいだ


『矢花〜、バナ!いる?』

『ちょっと、そこのドア脆いんですからあんまり叩かないでくださいよ!』

『ごめんごめん、今度補修するからさホームセンター付き合ってくれない?』

『琳寧君も連れて行った方が良くないですか?』

『あ、矢花に言ってなかったっけ?…私、琳寧と別れたよ』

『ええ?…いやいや、二ヶ月前ぐらいに付き合ったばっかじゃないですか…』

『…まあ色々あるのよ』

『大体わかりますから言わなくていいですけど…』




嶺亜君にこっぴどく振られてしばらくはしおらしくしていた先輩も二ヶ月もしたら元の食欲が戻り、今となっては昔の元気さをすっかり取り戻している


今だってこうやって建て付けの悪いドアをガチャガチャと補修している…というか遊んでる?



『三年だからさ、まあそろそろ就活考え始めないと、、』

『先輩どうするんですか?』

『音楽教室、、とかかな…』

『ピアノですか?』

『そうそう』



先輩が相変わらずといった雑な手つきでその辺をモップ掛けしていく

元気になってくれたのはいいのだけど、なんだか前よりパワフルになって付き合いきれない部分もある



『あ、ねえ矢花。17日とか空いてない?』

『17日ですか?いやまあ、空いてると思いますけど』

『報酬出すからさ、引っ越し手伝ってくれない?』

『荷物運びっすか?』

『うん』

『全然いいですけど、業者とかじゃなくていいんすか?』

『恥ずかしいんだけどさ…今お金本当になくて、、労働対価分払うからさ!…お願い!』

『全然いいですけど、俺だけで大丈夫です?』

『それは平気!琳寧とこんぴーにも頼んであるよ!』

『いやいや、元カレに頼むとかどんな神経してるんですか』




社会人一年目で忙しい事を配慮してかもしれないけど、嶺亜君を誘わない所にまた何かを感じてしまう



『大体なんで引っ越しするんですか?』

『実はね、慶が一年間留学する事になったの』

『え?本当ですか?慶君ってまだ中学生ですよね?』

『あの子、私に似て優秀なんだよねえ…』

『正気ですか?』

『うるさい。…まあそれでなんとなく家が居づらくなったんだよね、、』

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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231  
作成日時:2022年4月15日 22時

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