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私のラプソディ ページ49

大学のピアノがある部屋に着くと、矢花がすかさず弾けよみたいな横柄な目線を向けてくる
その目線になんとなく耐えられなくなってポロンポロンと音を紡ぐ


『えっと、何弾けばいいんだっけ…』

『忘れちゃったんですか?二曲目のやつですよ!』

『…あ、そうだね。ごめんごめん』


椅子に腰掛けてふうっと息を吐く。首を軽く倒し、肩を回し、手を回す

いつものルーティンをやったはずなのに…なんだか心だけは乗り気にならない


『弾かないんですか?』

『うるさいなぁ、今弾くよ』



最初の和音を奏でた時になんとなく気付いてしまった
…あの演奏がうまく行ったのはきっと、嶺亜への愛情が溢れ出ていたからだ


どんどんと進めていくけど、心が込められないのでどうしても淡白な演奏になってしまう



『…やーめた』


こちらに寄ってくる矢花に別の曲弾くからそこで待機してと一言伝えて、私は演奏を始める


軽やかな演奏に心躍るようなリズム。弾いててこっちまで楽しくなる名曲だ



一通り引き終えて、たった一人の観客、矢花からの拍手を受ける


『今のもいい曲でしたね、、!なんていうんですか?』

『聞いたことない?ラプソディ・イン・ブルーよ』

『あー聞いたことあります!』

『なんか、先輩らしい選曲ですね』

『そう?』

『はい。嶺亜君の事を思って演奏する先輩もある意味素敵でしたけど、そうやって自由に音楽を楽しむ先輩はもっといい顔をしてたと思います』

『何よ一丁前に!』



矢花の事を軽く小突いて、二人で笑い合う
矢花黎って奴は本当に不思議だ


私の負担を請け負ってくれているのか何なのか知らないけれど、彼といるとなんだか気持ちが楽になる
なんだろう…戦友みたいな存在、、?




『ねえねえ、嶺亜の事を思って演奏してる私ってどんな感じだった?』

『…そうですねえ、なんか目はいつもよりうるうるしてた気がしますけど』

『あんな遠くで見えるの?』

『見えるもんですって』

『それで、なんとなく熱を帯びたような顔色というか、、』




熱を帯びたような顔色、潤んだ目


『後は後は?』

『表情が柔らかかったですね』


…柔らかい表情



矢花が並べた全ての要素を私は今日の嶺亜に見た気がした


あれは確か…私と矢花が話していた時…













その時私にとんでもない発想が生まれた

















…嶺亜って…矢花の事が好きなの?








  【私のラプソディ】

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マリエ(プロフ) - ハルカさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!これからもよろしくお願い致します! (2022年4月9日 16時) (レス) id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - 良すぎて一気読みしてしまいました……お忙しいかとは思いますが続き楽しみにしております! (2022年4月9日 2時) (レス) id: 17cc79c11f (このIDを非表示/違反報告)
マリエ(プロフ) - 松さん» そのように言ってくださって本当に嬉しいです!完結まで是非宜しくお願い致します。 (2022年3月29日 19時) (レス) @page35 id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして!めちゃくちゃ面白くて更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2022年3月28日 23時) (レス) @page35 id: 309f0f86b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231  
作成日時:2022年2月23日 16時

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