第四章 あなたと私の一夜 ページ25
『あれ!矢花髪染めた?』
春が来て、私達はまた一つ学年を重ねた
嶺亜は髪色は就活の為に髪色を黒に戻したみたいだし、矢花は少し明るい茶色になっていた
『そうなんですよ、もっと明るくしたかったんですけど初めてだから全然色が入らなくて』
『そうだよね、まあ徐々に明るくしていけば良いんじゃない?』
矢花がバンドに入ってくれて、安泰と思ったのも束の間。就活の忙しさからなのか嶺亜はめっきりと私達の活動部屋に寄り付かなくなった
…克樹の時みたいだな
ポツリと私が吐いた言葉に矢花が本当ですねって深く頷いた
結局また、私達二人か
『あ、でも明日飲み会あるんだよね。嶺亜、来てくれるかな』
『…俺も誘っておきますよ、無理強いはできませんけどね』
矢花とはまあまあ仲良しなつもりであったけど、こうも二人となるとなんだか沈黙が気まずい
『ねえ、』
『なんすか?』
『なんで私が嶺亜の事好きってわかったの?…そんなに私顔に出てた?』
矢花は初めて嶺亜にあったあの日に、一発で私の嶺亜への恋心を見抜いた
その勘の良さに感心すると同時に、恐怖さえ覚えてしまう
『…先輩の考えてる事ならなんとなくわかりますよ、まあわかりやすいっていうのもありますけどね』
『え〜、なんか生きづらそうだね。そんなに人の感情読みとってたら』
『先輩とは伊達に2年間過ごしてませんから、なんとなく読み取れるようになっちゃったんですよ』
矢花が近くにあったベースをいじりながらこちらを一瞬たりとも見ずに話しかけてくる
こっち向けよ!と言いたい所だけど楽器に触れている矢花に何かするのは御法度だというのは痛いほどわかっている
『じゃあさ、私が今考えてること分かる?』
矢花がこちらをジロジロと見てくる、その間私は意識するように顔の表情を変えて、心を無にした
『嶺亜君』
『…嶺亜?』
『嶺亜君にいて欲しいんですよね、で、俺と二人はちょっと気まずい』
…ドンピシャすぎる
『別に気まずいとまでは思ってないけどさ』
『あれ、ハズレでしたか?』
いや当たってます…
『でも、嶺亜君にはいて欲しかったんでしょ?』
『うん』
『明日、来てくれると良いですね』
矢花の言葉を聞いてから、私は嶺亜にメッセージを送った
嶺亜一人だと来ないかもしれないから、念を入れて琳寧君にも嶺亜を連れてきて欲しいという旨のメッセージを送ってみた
私は心の中でそっと祈ることしかできなかった
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マリエ(プロフ) - ハルカさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!これからもよろしくお願い致します! (2022年4月9日 16時) (レス) id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - 良すぎて一気読みしてしまいました……お忙しいかとは思いますが続き楽しみにしております! (2022年4月9日 2時) (レス) id: 17cc79c11f (このIDを非表示/違反報告)
マリエ(プロフ) - 松さん» そのように言ってくださって本当に嬉しいです!完結まで是非宜しくお願い致します。 (2022年3月29日 19時) (レス) @page35 id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
松(プロフ) - はじめまして!めちゃくちゃ面白くて更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2022年3月28日 23時) (レス) @page35 id: 309f0f86b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231
作成日時:2022年2月23日 16時