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矢花には全てお見通しだった…
きっと私が嶺亜を見つめるその瞳が恋で満ち溢れていたんだろうなぁ
なんとなく自覚がある
『矢花、大光君。こっちだよ、とりあえず来て』
『これ入っていいんすかね』
『いいよいいよ』
油絵の匂いや綺麗な音楽が色々な部屋から聞こえてくる
自分の大学ながら他の大学とは一味違うよなぁと思う
私達が追いやられている隅に二人を案内するのはなんだか心苦しいけど他のサークルの人達が使っている部屋に案内するのは流石に出来なかったからしょうがない
『二人ともごめんね、汚いけど。…まあ少し掃除したから!』
『いや、だ、大丈夫です』
二人とも無理に繕わなくていいのに、顔が引き攣ってるのバレバレだし、、
『あ、これ。適当に座って?』
少しだけ年季の入ったソファーを軽く埃を取って申し訳程度にその辺のウェットティッシュで拭く
『これでまあ座れる程度にはなったんじゃない?…まあ私達も座ったことないんだけど』
二人がズコーっと床に雪崩れ込む
あーあー、床も掃除してないのに
『本当にありがとうございます、学校だと苦情が来るのでここで心置きなく演奏できると思うと気が楽です』
『え〜、文句なんて言う奴いるの?吹奏楽部とかもいるのに?』
『俺らの音楽は吹奏楽部とかなレベルじゃなくうるさいらしいですけど、…まあそれもこれもこいつ、、大光のせいだと思いますけど』
『ぅおい!矢花!俺のせいにすんなよ!』
大光君と矢花はいっつも戯れあって楽しそうだ
…兄弟みたい
いつも私が見ている矢花は後輩であり、冷静沈着な姿だ。
だけど、大光君といる時は矢花黎17歳そのままが全面に姿を表してなんだか微笑ましく思える
『大光君は何の楽器やってるの?』
『ドラムです』
『うそ!ドラム?ここにドラムあるからよかったら使ってよ!』
そう言って棚の奥からドラムを出すと当たり前のように埃をかぶっていてとりあえずいつもの通り埃を拭う
私がパタパタと掃除している間に矢花はベースを弾いていたし、おそらく重くて高校から楽器を持って来れなかったであろう大光君は足と手で激しくリズムを刻んでいた
…二人が思いっきり演奏していてなんだか嬉しくなった
こんなにやる気があるのに周りの大人や環境がその熱意を潰してしまうのは本当に勿体無い事だよなぁ…まあ、大光君がただただ煩かったのかもしれないけど…
だけどキラキラしている二人は青春そのもので私は目移りを許されなかった
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マリエ(プロフ) - ハルカさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!これからもよろしくお願い致します! (2022年4月9日 16時) (レス) id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - 良すぎて一気読みしてしまいました……お忙しいかとは思いますが続き楽しみにしております! (2022年4月9日 2時) (レス) id: 17cc79c11f (このIDを非表示/違反報告)
マリエ(プロフ) - 松さん» そのように言ってくださって本当に嬉しいです!完結まで是非宜しくお願い致します。 (2022年3月29日 19時) (レス) @page35 id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
松(プロフ) - はじめまして!めちゃくちゃ面白くて更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2022年3月28日 23時) (レス) @page35 id: 309f0f86b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231
作成日時:2022年2月23日 16時