三者択一 Yuto.T＊Taisho.I＊Taiko.S (ページ10)

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れページ10

『え〜じゃあさじゃあさ、俺の事は？』

『大っ嫌い』

『本当つれね〜な〜、大昇って可哀想』

『なんで大昇が出てくるのよ』

『おめーのそーゆーとこが問題なんだよ』

目の前のゴリラだかチンパンジーだか猿だかよくわからない生物が私に本気で殴りかかろうとしてくる

明らか力の強そうな類人猿と普通の女

こんなの側から見たら通報レベルだよ、、

『…もう、私早く家帰らないと。じゃあね大光』

顔の中で小さく手を振って彼に背を向けると

後ろから弱々しい力で手首を掴まれた

『おい、ちょっと待てよ』

『え…？なに？』

『いいからここ座れよ』

『私、早く帰りたいのに…』

『三分でいいから』

大光に促されてコンビニの前の柵に座る
彼もまた私の横にそっと腰掛けるとありえないくらい真剣な顔で私を見つめた

『俺さ、…この島出ていくんだよ』

『、、、えっ？本当に？』

『そう。父親が本社に戻れる事になってさ。まあ、この島ともおさらばってわけ』

『…そう、、なんだ』

『寂しい？俺がいなくなって』

『まあね』

『珍しく素直だ』

多分本社から左遷されたであろう大光のお父さんがまた本社に戻れる
それ自体は本当に喜ばしい事だし、お祝いしなくてはいけない事だ

だけど、

転校生だとしても

この数年間私達は大光とかけがえのない経験をして、お金では買えないような大切な思い出を積み重ねてきた

私はいきなりなんとも言えない感情になってしばらく何も喋ることができなかった