僕のアンティシペーション (ページ49)

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僕のアンティシペーションページ49

…俺と先輩の関係

先輩はいつも天真爛漫で俺にちょこちょことくっついてくる

それはまるで妹のようで俺も先輩に対して実の妹のように慈愛に満ちた眼差しで見守っている

本当は先輩の方が年上だけどそんな事は全く感じさせない
クリクリな目に(カラコン)
綺麗に切り揃えられた黒い重めの前髪

だけど、時々

妹に感じるものと別の気持ちが俺の中で出てくる事がある

この気持ちがなんなのかはよくわからない
…正直候補はいくつかあるけど

だけど、まだそんな展開になるには早すぎる
だからこの気持ちにもう少しだけ蓋をして次の展開を先延ばしにしようと思う

…俺が勝手に先取りで気付いてしまう、これは禁忌だ

『ね！矢花。矢花ってドラム叩けるの？』

『まあ、軽く叩けますよ？』

『ほんと？叩いてみて！』

先輩に頼まれた通りドラムを叩いてみる
その横には少女のように目を輝かせている先輩がいる
誰かのために演奏をするというのは…本当に楽しい事だ
軽音部の部員が俺一人になった今、それを痛感している

『…うわあ、すごい。私、ピアノしか弾けないから尊敬する』

『そうっすか？』

『うん』

先輩のキラキラした目から漏れる期待に応えたくてちょっと気取ったリズムを刻んでみた

『なにそれ！なんかオシャレ…』

『リズムですか？』

『そうそう』

『これ、アンティシペーションって言うんすよ』

『アンティシペーション？』

アンティシペーション…ジャズによく使われてリズムや音を先取りする技法だ

俺完全にカッコつけたな
…滑稽だ

『…シンコペーションしか知らなかった』

『まあ、逆って事ですよ』

『ふーん、また一つ賢くなった気分』

やっぱり…展開を先取りするのは、やめよう
今は、今でいい

先輩は先輩だし俺は後輩
今はそれでいい

アンティシペーションはやめておこう

俺は、今を楽しもうと思う
　【僕のアンティシペーション】

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マリエ(プロフ) - 海宙さん» 身に余るお言葉を頂きありがとうございます！これからもよろしくお願い致します！ (2022年2月24日 18時) (レス) id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
海宙(プロフ) - とても綺麗な作品で毎回読むのが楽しみです。これからも無理の無いペースでの更新を頑張ってください。 (2022年2月23日 0時) (レス) @page50 id: c037788408 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名：マリエ | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/taka231
作成日時：2022年1月26日 9時

僕のアンティシペーション