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『一回、考えさせて。…お願い、…お願いします』
『姉ちゃん…』
先輩のお母さんと中村さんは頭を下げた先輩を見てびっくりしていた
でも、すぐに普通な顔に戻って二人でデートでも行くかあなんて言ってる
…少し呑気だなと思ってしまったのは秘密だ
『じゃあ、少し出てくるわね』
『お母さんの事責任持って送り届けますから…』
先輩のお母さん…女の顔してる
他人の俺にもわかる
先輩はまだしもまだ小学生の慶君にはあまりにも酷だし、それに、もし先輩が家を出て行ったら?
この家は慶君とお母さんと中村さんの三人だ
…中村さんが悪い人だって言ってるんじゃない。だけど、あまりにもリスクがある気がする
そう思うのは考えすぎなんですかね…
『…矢花。どうしよう』
先輩がすがるような目でこっちを見てくる
…俺は今頼られている
ここまで悩んで困っている人間を…俺は適当な言葉で見捨てる事なんてできない
『…先輩はこの家を出て行く気はあるんですか?』
『…わかんない』
『思うんですけど、中村さんが悪い人だとは言ってないです…だけど先輩が出て行ったら慶君…大丈夫かなって』
慶君がびっくりしたようにこっちを見る
まさか、自分の事を言われるとは思ってなかったのかな
『…認めてあげた方がいいのかな』
『反対する理由も特になかったもんね』
『…お父さんみたいに浮気はしなさそうだし、三好さんみたいに…DVもしなさそう』
『まあある程度コンプリートしたもんね』
…俺は口出しできない
二人は、先輩は…どうするんだろう
『…私、家は出ない。大学だってここから通えるし、それより…お母さんが心配だから』
『…姉ちゃん、本当にいいの?』
『うん、それに慶と別れるのもまだまだ惜しいしね!』
『姉ちゃん…』
続く言葉が予想できた
…やっぱりお母さんのことが好きなんだな…二人とも
そりゃあそうだ
大切な人が幸せになりたいって願望をどうして止められるだろうか
『…認めてあげようか』
『お母さん、若返ったよね。…俺らにはあんな風にお母さんを幸せにはできないよ』
『…気持ちはわかるよ、私には。同じ女だし…愛されるって幸せだよね』
『そのかわり、しっかり見守ろうね。お母さんの事…
…矢花もありがとう。矢花がいなかったらもっとお母さんのこと感情的に責めてたと思う…』
珍しく先輩が俺にお礼を言う
心底よかったなあなんて思って俺は先輩の肩を叩いた
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マリエ(プロフ) - 海宙さん» 身に余るお言葉を頂きありがとうございます!これからもよろしくお願い致します! (2022年2月24日 18時) (レス) id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
海宙(プロフ) - とても綺麗な作品で毎回読むのが楽しみです。これからも無理の無いペースでの更新を頑張ってください。 (2022年2月23日 0時) (レス) @page50 id: c037788408 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231
作成日時:2022年1月26日 9時