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『ねえ矢花、これ食べたい』

先輩が指差したのは海の近くにある焼きそばの出店の看板
確かに海に出てる店のご飯っていうのはすごくそそられる


『でもラーメン食べるんじゃないんですか?』

『うん!ラーメンも食べるけどこれも食べる。矢花も食べる?』

『いや…いいですよ』

凄い食欲だな…
男の俺でもこんなの結構きついぞ…


『先輩って大食漢なんですね…』

『は?男じゃないし』


そんな会話をしながら屋台で焼きそばを買う先輩
屋台のおばさんにやたら愛想が良くてその調子で俺にも接してくれよなんて心の中でひっそりと思う

『うわみて!美味しそう!』

特別何かが美味しそうなわけではないけど海で動いた体にこのソースの匂いは魅力的だった
先輩が勢いよく麺を啜っていくのを見てなんだか少し羨ましくなった


『…先輩って兄弟多いとか?』

『いや、一人しかいないけど。どうして?』

『兄弟沢山いる人ってご飯取り合いになるから早食いになっちゃうみたいな…聞いたことあるからなんですけど』

『え?そんな私ってがっついてる?』

『自覚ないんですか?』


先輩が恥ずかしい〜って手で顔を隠す
むしろ今まで自覚がなかったことの方が驚きだ


『でもなんかこれ、本当に美味しいよ?矢花も食べてみなよ』

そう言われて、お腹が空いて我慢が効かなくなってきていた俺は屋台のおばさんに割り箸だけ貰いに行って先輩から少し分けてもらった


『…うまい』

『でしょ?なんか近所の縁日で食べる感じ』

『ソースの加減が絶妙ですね…』

こんな美味いものを400円で買えるなんてさすがB級グルメだ


『あ!矢花食べ過ぎ!』

『すいませんって!半分出すから許してください』

『そういう問題?矢花も買えばいいじゃん!』

『ラーメンはいらなくなるじゃないですか!』


先輩の奢りなんだから替え玉してやろうって目論んでる
どうせならトッピングもしちゃおうかな…流石にひどいかな…


『あんたたち仲良しだね〜』


ふと、声のする方を見ると屋台にいるおばさんがこちらをニコニコとしながら話しかけてきているのが見えた


『え?仲良しですか?』

『うんうん、姉弟?』


…ここで違いますとか言っちゃったら恋人って勘違いされるかな…
なんて言おうかなんて俺が悶々と考えている間に横からまあそんなようなもんですって声が聞こえた


おばさんはそんなようなって言葉になにか俺らによほどの事情があるのではと勝手に勘繰ってくれてそれ以上は聞いてこなかった

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マリエ(プロフ) - 海宙さん» 身に余るお言葉を頂きありがとうございます!これからもよろしくお願い致します! (2022年2月24日 18時) (レス) id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
海宙(プロフ) - とても綺麗な作品で毎回読むのが楽しみです。これからも無理の無いペースでの更新を頑張ってください。 (2022年2月23日 0時) (レス) @page50 id: c037788408 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231  
作成日時:2022年1月26日 9時

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