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『はあ、なんかいい感じの天気で気持ちいいかも。浮き輪の上で寝ちゃいそう』
『やめてくださいよ』
『あ、なんか本格的に眠気が…』
先輩にこんな所で寝られたら俺は帰る時に先輩のことを一々起こしてまた面倒くさい事になりそうだ
『ちょっと寝ようかな………って、日沈んだ?』
雲の隙間から海に差してた光がスンと消えて9月らしい暑さの狭間に涼しい風が吹き込む天候になってきた
『ブ…クション!』
『ちょっとこっち向いてくしゃみしないで下さいよ』
『う…ごめんごめん。なんかまた出そう』
『ちょっと…勘弁してくださいって』
先輩が女の人にしては豪快なくしゃみをする
こっちに向かってしてくるとか頭どうなってんだ?
『いやなんかほんとに寒くない?気のせい?』
『いや気のせいじゃないと思いますけど…天気怪しいですね』
『え〜来たばっかりなのに…』
『とりあえず出ますか?』
『…体操服が体にぴったりくっついて不快なんだけど…』
水を含んだ体操服は濡れて先輩の体にぴったりとくっついていた
そんなに沢山の面積がくっついていたら流石に風邪引きそうだよな…
『じゃあ、出ましょうよ』
『え?出るの?来たばっかじゃん!また日出るかもしれないし』
『いや出るにしても出ないにしても先輩風邪引きますよ?そんな格好じゃ』
『私は大丈夫!』
先輩がこっちに無邪気な笑顔を向けてきたと思ったら次の瞬間顔が歪んでもう一発おっさんのようなくしゃみをした
『ほらほら、もう出ますよ?』
『絶対いや!矢花先出ればいいじゃん!』
『子供ですか?もう風邪引きますよ?』
それもこれも先輩の為に言っているんだけど当の本人はあまり理解してくれていないようだ
『ほらほら、もう出ますよ』
とりあえず俺は浮き輪を引っ張って歩いていくけど先輩が例のお得意なバタ足でバタバタと暴れ始めた
水飛沫が凄いことになっている
『ねえもうちょっとだけ!』
『…ガキじゃあるまいし』
俺は駄々を捏ねている先輩を軽く無視して気にせず浮き輪を引っ張る
先輩も負けじと暴れている
『ほら行きますよ!』
『矢花先行って!』
子供みたいに暴れるから痺れを切らして浮き輪の両側を掴んで半ば強引に浅瀬の方に押していった
その間もジタバタとしていたけど相当強い力で抑えつけていたから先輩も途中で諦めて大人しくなった
少しかわいそうなことしたかな…
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マリエ(プロフ) - 海宙さん» 身に余るお言葉を頂きありがとうございます!これからもよろしくお願い致します! (2022年2月24日 18時) (レス) id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
海宙(プロフ) - とても綺麗な作品で毎回読むのが楽しみです。これからも無理の無いペースでの更新を頑張ってください。 (2022年2月23日 0時) (レス) @page50 id: c037788408 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231
作成日時:2022年1月26日 9時