. ページ28
秋頃、こんぴーも先輩も進学に向けてバタバタとしているらしく俺は完全に一人で部活をやっていた
もはやこんなの部活じゃない
同好会になるのも時間の問題だ
一人寂しく譜面を読んでいると視聴覚室への道からバタバタと忙しく走ってくる音が聞こえた
『…先輩?』
『あ、ばないた!』
『…どうしたんすか?てか、久しぶりですね』
先輩に最後に会ったのは夏ぐらいだった気がする
平野先生にバレンタインあげるんだ〜とルンルンしている時にそういえば教育実習生って一ヶ月間しかいないんですよねなんて水をさすことを俺が言って先輩がとぼとぼと帰って行ったあの日だ
『あのね、大学決まった!』
『え!ほんとですか?』
『うん、ここから五駅ぐらい先に芸術大学あるの知ってる?』
『あぁ、もちろん知ってますよ』
『そこに決まったの!推薦で』
先輩が嬉しそうに話す
人のことなのになんだか俺も嬉しくなってくる
『おめでとうございます。よかったですね!』
『うん!ありがとう!』
『あと…こないだの平野先生のこと…水差すような事言ってすいませんでした』
自分が悪いとは正直思わないけど、それでも先輩を傷つけた事は事実だったと思うし、今考えたら言わなくてもいい事でもあった
でも、先輩の反応は思ったものと違った
『え?なんだっけ……あぁ、まだそんなこと気にしてたの?』
『…先輩傷ついたかなぁって』
『いや教育実習生が夏から冬にかけているわけないって矢花に言われないまで気付かなかった私やばいでしょ?』
『…まあ』
『だまって!』
少し天パの俺の髪を先輩がくるくるといじる
『それに、私の切り替えの早さはピカイチだって事知ってるでしょ?』
『…た、たしかに』
先輩があっさりとそう言った後にその辺の掃除を始める
『しばらく来ない間にちょっと汚くなったね』
『あ〜、俺の私有スペースになってますからね…』
『…結局一年生とか入んなかったの?』
『はい、誰一人として入ってくれませんね…』
先輩考え込んでいる
…何を考えているんだ?
まさか、部活に入るとか?別にいいけど今更やることなんて無いと思うんだけど…
『じゃあ、受験も終わった事だしまたたまにくるよ!』
『…先輩俺が一人で寂しがってると思ってます?』
『いやそんなん全く!』
『白々しいですよ』
『ごめんねちょっとだけ』
普通にギター弾いてなんか食って一人も悪くないもんだ
寂しかったっていうのはちょっとだけほんとだけど
125人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マリエ(プロフ) - 海宙さん» 身に余るお言葉を頂きありがとうございます!これからもよろしくお願い致します! (2022年2月24日 18時) (レス) id: c6cf29b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
海宙(プロフ) - とても綺麗な作品で毎回読むのが楽しみです。これからも無理の無いペースでの更新を頑張ってください。 (2022年2月23日 0時) (レス) @page50 id: c037788408 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:マリエ | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/taka231
作成日時:2022年1月26日 9時