キミと月のブランコ。４ (ページ46)

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私がこの曲を好きだと話したら、

＂マジで！？俺も俺も。あれだよね、えっと……なんとかFloorでしょ？＂

って、曲名が思い出せなくて笑ったよね。

私が歌って欲しいって言ったら、

＂いつか歌ってあげる。＂って、

＂Aのこと、思い浮かべながら歌うから。＂

そう言って抱きしめてくれて。

叶わないはずだった約束を、

＂Aに、１番に聞いて欲しかったから。＂

隆二は果たしてくれた。

別れたことを後悔して、ずっと好きでいてくれた。

酷いことをしたのは自分なんだって、今更気付いたよ。

ごめんね、隆二。

いつだって私を守ってくれて、想っててくれたのに。

手を振りほどいたりして、ごめんね。

東京までの約２時間、何度もその曲を聞いた。

隆二だけを想いながら。

駅に着く頃、一通のメールが届いた。

相手は臣くん。

＂家に着いたら連絡して。迎え行けないけど、気を付けて帰れよ。＂と。

こんなぐちゃぐちゃな気持ちで返事をする気にならなくて、そのまま携帯をバックに投げた。

でもすぐにバイブ音が聞こえて手にすれば、今度は着信。

「もしもし！もう帰ったの？実家どうだった？」

聞こえてきたのはボンちゃんの優しい声。

「今から行ってもいい？」

もう１人で悩むのは疲れちゃった。

「うん、いいよ。待ってるから。」

急いで向かったボンちゃんの家。

インターホンを鳴らせば＂おかえり。＂って温かく迎えてくれるボンちゃん。

顔を見た瞬間に張り詰めていた糸が切れたように、声を出して泣いた。

自分の選択に自信がなくなって、戻れない過去を悔やんで。

抱きしめくれるボンちゃんの肩越しに、リビングから顔を覗かせる岩ちゃんがいた。

「Aちゃん、おいで。」

岩ちゃんも優しく私を呼んだ。